はしがき
これは、「ぼくら」のものがたり。
あの時たしかにそこにいて、なにものかになれると信じて疑わなかった、
けっして揺らぐことなく、それぞれが心の中でいつかそうなりたいと強く願うものになれる。
そしてそれはそう遠くない未来に、きっと叶うとただまっすぐに信じていた。
特に何の根拠も理由もないのに、一体なにがぼくらを頑なにそう信じさせていたのか、
今となってはわかりようもないのだけれど。
そこに道はあった
森に捨てられた迷子の兄妹が道しるべに落としたパン屑の道
ニヤニヤ笑いの喋るネコが指し示すぼんやりと光る足跡の道
カカシとライオンとブリキ人形と共に進む金色のレンガの道そこに道はあり、ものがたりはどこまでも続いていた
少し気恥ずかしくなんだかこそばゆい、
きらきらとまぶしいくらい健気でかわいらしかったあの頃のあれこれ。
もしくは、
ただ生きて ときどき「ふふふ」と 笑っていれば
そんな「ぼくら」のお話。