屋根裏ネコのゆううつ III

屋根裏ネコのゆううつ III

intro

やわらかでやさしい波音が繰り返す、オレンジの海の白い星砂の浜辺には、今日もおだやかに柑橘系の香りの風が吹いてる。かわいらしい南国風のトーテムに囲まれた瀟洒なコテージのテラスには、丸い白木のテーブルとお...
屋根裏ネコのゆううつ III

(just like) starting over

何事もなく数週間が過ぎて、11月の半ばになってた。寒さに目を覚まして、珍しく早起きをした火曜日の朝。この秋初めて、制服の上にウインドブレーカーを羽織って、早めに学校へ行こうと家を出た。マンガの吹き出し...
屋根裏ネコのゆううつ III

(just like) starting over ii

「んで、この子が、ルナチャンのとこへ「来た」って云った?」Lが尋ねると、テラスのLを挟んで反対側、いつもナナが座る席にちょこんと腰掛けたルナが、「うん。黄金虫が来たの、るなのとこに」さっきと同じセリフ...
屋根裏ネコのゆううつ III

(just like) starting over iii

教室では、チャイムが鳴ると同時にナガタ先生が入って来て、ホームルームが始まってた。日直さんの号令を聞き逃して、ドナドナモードで座ったままでいた僕の頭を、後ろからルナがふわりとチョップしてくれる。僕は慌...
屋根裏ネコのゆううつ III

(just like) starting over iv

昼休み、ルナが後ろで、すっと席を立つ気配がして、僕も振り返りながら立ち上がる。ランドセルを両手で抱えたルナが小さくうなずいて、無言で教室を出て行くので、僕も黙って後について廊下へ出た。あえてこちらから...
屋根裏ネコのゆううつ III

(just like) starting over v

「お菓子のお家」心の声でぽつりとそう云って、ルナは僕とつないでた手を離すと、僕の手からランドセルを引ったくるように取って、すたすたと教室へ向かって歩いて行く。お菓子のお家ルナの意識空間、金色の草の海へ...
屋根裏ネコのゆううつ III

(just like) starting over vi

ハナの「灰の海」の底、黒い床が薄っすらと水の膜に覆われた、記憶の保管庫。周囲を螺旋状に取り囲む、白い梯子状の構造物の名前を、僕は知らない。だから、最近は勝手に「記憶の梯子」と呼んでた。そもそも「オレン...
屋根裏ネコのゆううつ III

(just like) starting over vii

木曜日の昼休み、教室の席に座り、「うちゅうのひみつ」を読んでた。いよいよ最終章なので、明日の金曜には、読み終えて図書室へ返しに行けそうかな。ぱらぱらと残りのページ数を確認していたら、「スズキ君」廊下側...
屋根裏ネコのゆううつ III

(just like) starting over viii

木曜の晩、屋根裏をのぞいてみたけれど、Nの姿は見えなかった。今日は天気がいいので、日課の夜のお散歩へ出かけてるのだろう。だいぶ冷え込んで来たけれど、Nは寒くないのかな。屋根裏の空気はひんやりとしてる。...
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