仄暗いオレンジの夜空を、薄雲が流れて行く。
ほのかに光る海のオレンジ色を映した空に、雲は白っぽい灰色に見える。
星に海があり、そこには豊富な水があるのだから、空には雲もあるのだろう。
かつてあった、と云うべきかもしれないけれど。
ふとそんな事を思っていたのは、ただの現実逃避で。
答えにたどり着く事なく、ぐるぐると回り続ける思考から、少し逃げたくなってただけ、だったのかもしれない。
Jがおもむろに、両手に抱いたNの体をくるりと回して、自分の方へ向ける。
灰色がかった大きな眼と、青と琥珀の不思議な眼が見つめ合う。
そして、囁くような魔法の声で、
「ねえ、Nちゃん教えて」
まるで呪文のように。
「ブラウンは、放火魔で爆弾魔。元は遺伝子工学の得意な、アメリカ軍の研究者。30年ほど前にホワイトと揉み合いになり、銃の暴発で爆風をまともに浴びて、レムナント化してる。その時に、たぶん顔も失ってる。そんな彼が、ベースの居住区と研究施設に火をつけたのは何故?それから研究棟の1C実験室宛に爆弾を送りつけたのは何故?そして今日、ルリさんのリビングの窓に爆弾を貼り付けたのは、何故?」
静かに歌うように、低く唱えるように。
鏡よ鏡、答えておくれ
何故か突然、そんな祖母の声を思い出す。あれは、白雪姫の魔女のセリフ、だったろうか。
Jの囁きは、魔女の呪文のよう。
それに答えるのは魔法の鏡ではなく、青と琥珀色の不思議な眼を持つ、老賢者のような小さな黒ネコで。
「混乱、混沌、恐慌、でしょうか」
淡々と、冷静に、Nはゆっくりと言葉を選ぶように云う。
「一見、無秩序で無計画、愉快犯のようでさえあります。酷く暴力的で、短絡的。思慮に欠け、直情径行な人物。その男による一連の犯行。しかし、3件の犯行に共通するのは、まさにそれです」
混乱、混沌、恐慌
つまり、何を考えているかわからない。次に何をやらかすか、予想もつかない。
それは、これまでの想像通り、という事だよね。
僕が云うと、Nは静かに首を振る。
「いいえ、何を考えているかは、わかります。敵の目的は、まさにそれ、我々に混乱をもたらす事。混沌に突き落とし、恐慌に陥れる事、なのでしょう」
混乱、混沌、恐慌
それが、ブラウンの目的?
淡々と、Nは続けて、
「軍が去りひと気のなくなったベースに火を放つ。墜落し保管されたロリポリの尾に爆弾を送り付ける。そして、ベースを追われた者と、爆弾から避難した者が、共に身を寄せ合う高層マンションの部屋の窓にも爆弾を。これらが単なる思い付きの衝動的な犯行や、無差別なテロ行為などであるはずがありません。敵の狙いは最初から我々です。周到に綿密に、長い時間をかけて、我々を追い詰めようとしているかのようです。混乱と、混沌と、恐慌によって」
全員が固唾を飲んで、Nの言葉に聞き入っていた。
それはまるで、予言者が告げる啓示か何かのよう。
「敵はまた、我々を恐れてもいるのでしょう。取るに足らぬ子供、力なき弱者と侮っているのなら、何もせずに放置すれば良いはずです。並々ならぬ手間暇をかけて、我々を追い詰めようとするのは、我々自身すら気づかない何かが、敵を怯えさせ、恐れおののかせているからに他なりません」
Nの青と琥珀の眼が、僕を見る。
凛と響く不思議な声色で、Nは云う。
「如何に理不尽で理解不能な暴力に晒されようとも、我々のなすべき事は、変わりません。毅然として立ち、粛々となすべき事をなすのです。
それは決して、「慎ましく穏やかに」というナナの理念に反するものではありません。むしろ彼女の云う通りと云えましょう。我々は常に、慎ましく穏やかであれば良いのです。
但、怯えてはいけません。混乱や混沌に飲まれず、恐慌に陥る事なく、毅然として前を向き、我々の目的へ向かうのです」
ふわりと柑橘の香りの風が吹く。
オレンジの海の波音は、変わる事なく繰り返し、寄せては返す。
その波音に耳を傾けるように、Nはわずかに首をかしげるようにして、
「こんな所でしょうか」
さらりと云って、いつものようにぺろりと鼻をなめていた。
いつの間にか、僕の頭の中の思考のぐるぐるが止み、何かがすとんと落ち着いて、心が静かに凪いでいるのを感じる。
これは、本当に、魔法では。
ぽかんと口を開けて、青い眼でじっとNを見つめていたLが、ハッと夢から覚めたみたいに息を飲み、Jを見る。
「J、おまえ、何なの」
云われたJは、まだじっと目の前のNの不思議な眼を見つめ続けていたけれど、
「え、何が」
どこかぼんやりと云って、首をかしげてLを見る。
「何が、じゃねーだろ。今の何なの。おまえ、ネコチャンに何したの」
食ってかかるようなLの云い方に、ピクッとJの眉が寄る。
「何それ。まるで、わたし、Nちゃんに何か、意地悪でもしたみたいじゃない?」
「はあ?意地悪なんて云ってねーだろ。ただ、今、何したのか、って聞いてんの」
ああ、これは、知ってる。
JとL、ふたりの云う事が何故かナナメに食い違う、いつものあれだ。
ケンカとかではないのだけれど、いつも僕が困るやつだ。
どうしよう、と思う間もなく、Nがさらりと、
「魔法でしょう」
当然のような顔で云って、Lに小さくうなずきかけてる。
魔法
やっぱり?って云うか、え、ほんとに?
「キクタが始終云っていた、Jの「魔法の声」、それは、この事なのでしょう」
そう云って、Nが僕に同意を求めるように、こっちを見てるけれど。
いや、その、そうなの。
僕の云うJの「魔法の声」は、なんと云うか、比喩と云うか、例えみたいなもので。
それは、本当にJが魔法を使えるわけではなくて、「まるで魔法のような」という意味で。
すごく当たり前の事を、どうして僕はこんなに必死になって説明してるのだろう、と思わなくもないけれど。
ふむ、とNは小さく鼻でため息をついて、またLに向き直り、
「先程まで、ワタシの頭の中は、キクタ同様、様々な思いや考えがぐるぐると回っていました。形にならない思考の断片や、バラバラの言葉が、です。
ところが、Jに魔法の声で尋ねられた瞬間に、それらがするするとつながり、形を成したのです。ワタシはただ、それを読み上げたに過ぎません。
つまり、ワタシの中のバラバラの思考をひとつにまとめたのは、「Jの魔法の声」に他なりません」
証明終わり、とでも云うみたいに、Nはぺろりとまた鼻をなめてる。
聞き終えたLは、青い眼をまんまるにして、きらきらさせながらJを見る。
「え、ちょ・・・、Nちゃん?」
JもLに負けないくらい、灰色がかった眼をまんまるにして、Nを見て、困ったように顔の前でパタパタと手を振り出す。
「本物だったんだ、1/fのゆらぎ。宇宙の根本原則、だっけ」
驚きを隠そうともしない顔で、ガブリエルがJを見つめてつぶやく。
「それは「ゆらぎ」そのもの、な。1/fゆらぎは、その中でも特に癒しやリラックス効果が高いと云われてるもの、だけど」
呆然としながらも、Lがしっかりそう説明してくれる、けれど。
え、本当に?
でも、Nが嘘をつくとは思えないし、お世辞やおべんちゃらを云うとも思えない。
いつも冷静で、いつでも淡々と事実を告げる、それがN、だよね。
「ちょ、ちょ・・・、待って、違うの」
いよいよ困り果てた顔で両手をパタパタ振り回し、左右をくるくる見渡しながら、Jが云う。
「聞いて」
魔法の声で。
「みんな、思考のぐるぐるにはまってたでしょ。だから、どうしたらいいかなって、思ってね。そしたら、Nちゃんの眼を思い出して。いつでも、何でも見通してそうな、不思議な眼。だから、聞いてみた、それだけだよ」
最後はふてくされるみたいに、すねた顔で、ぷいっとそっぽを向いて、魔法の声で。
すねたJも、やっぱりかわいいけれど、ではなく。
Nちゃんの眼?
確かに、そう。
Nはいつでも、何でも見通してるみたいに、あの不思議な眼で全てを見てる、僕もそう思ってた。
何もかもを見透かす、老いた賢者のように。
「ははあ」
Lが何故か、いつものニヤニヤ笑いになって、ぴこんと人差し指を立てる。
「じゃあ、コラボじゃね。Jの魔法と、ネコチャンの不思議パワーのコラボ。全てを冷静に見通すネコチャンの不思議な力を、Jの魔法の声が引き出して言語化させた、ってところかなー」
はっはー、楽しそうに陽気なハスキーボイスで笑う。
そのLの明るい笑い声も、僕にとってはある種の魔法なのだけれど。
「だから、魔法じゃないってば」
Jはまだふくれっつらだけれど。
「いいえ、魔法です」
淡々と、Nが否定する。
「実際にこの身で体験し、確信しました。魔法か、さもなくばそれに類する特別な「力」です」
青と琥珀の不思議な眼で、真っ直ぐにJを見つめて、Nは云う。
「だから、J、どうぞアナタのその「声」を大切にしてください。いつかアナタの「声」が、迷える誰かを救うかもしれません」
まるで、予言か何かのように。
すうっとこれも魔法のように、ふくれっつらを収めたJは、少し照れくさそうに、ふわりと柔らかく微笑んで、
「うん。Nちゃん、ありがとう」
ぬいぐるみでもなでるみたいに、やさしくNの頭をなでてた。
全くNの云う通り、だったのかもしれない。
混乱と、混沌と、恐慌。
突然の襲撃に、僕らは混乱して、混沌に巻き込まれ、恐慌をきたしていた。
だから、その点で云えば、ブラウンの襲撃は、目論み通りの効果を僕らに及ぼしていたのだろう。
冷静さを失い、思考の迷路に嵌り、正しい判断が出来ない状態に、少なくともさっきまで僕らは陥っていたのだから。
Jの魔法と、Nの冷静な導きのおかげで、どうやらその危機は脱したみたいだった。
あらためて、冷静に状況を俯瞰すれば、「良い」とは間違っても云えないけれど、「最悪」にはほど遠い。
良い・悪い、で云えば「悪い」方ではあるけれど、その傾きは、少しだけだ。
ルリおばさんが負傷して、入院を余儀なくされた。
安全な最後の砦であったはずの拠点、ルリおばさんの部屋は窓とリビングを破壊され、しばらく使い物にならない。
その上、敵にその場所がバレてる事もわかったので、今後も使い続けられるかどうかは、微妙なところだった。
けれど、「悪い」要素はそれくらいだ。
僕らは全員無事で、こうしてそれぞれの家に帰れている。
家を壊されてしまったハナとルナも、ひとまずホテルに泊まれる事になり、母がついて行ってくれてる。
それほど、悪くはない。良くはないけれど。そんな感じだろうか。
ふむ、と気持ちを切り替えるみたいに、Lがテーブルの上のお茶を一口飲んで、
「完全な不意打ちの上に、爆弾で襲撃された事を思えばね、よくぞ無事でって感じだよな。まあその流れで、ひとつ、思いついちゃった。さっきのガブちゃん的な、ほんの思いつきってやつだけど」
ぴこんと人差し指を立てて、ふふんと笑う。
「どうぞ、聞かせて」
Jがさらりと云う。
「あの爆発を警察や消防に通報したのってさ、もしかして、ハンスじゃね」
Lも負けじと、さらりと云う。
ハンス?
また、ハンスなの。
「大人気、ってわけじゃねーけどな。疑い出したらキリがねーってのも、オレが云ったんだけど。でも、根拠はあるぜー」
ふふん、とまたLは鼻で笑って、「聞きたい?」と尋ねる前に、
「どうぞ、聞かせて」
素早くJに云われて、おどけるように大袈裟に肩をすくめてる。
「カムパニーの対応の早さ、って話を聞いた時に、なーんか引っかかってたんだよね。早過ぎじゃね、って云うか、何かを慌てて隠そうとしてる風じゃね、ってね。カムパニーが、じゃないぜ。カムパニーに素早い対応をさせた誰かが、だね。そこで、ぴこんとつながったんだよなー。前にもいたよね、慌てて隠そうとしてたヤツ → ああ、ハンスじゃん、みたいな」
前にも、とLが云うのは、ハルの誘拐事件の時、かな。
確かに、あの時のハンスの対応は素早かった。公園を封鎖して、ヌガノマホワイトからハルを救い出した。そして、認識を消した上でハルを家まで送り届け、公園の封鎖を解除した。
そのハンスが、今日の爆発事件を警察に通報したの?
「さっきのガブちゃんの思いつきに乗っかると、ハンスは、何らかの方法でブラウンをそそのかして、ルリちゃんのマンションへ向かわせた。けど、詳細な指示なんかは、たぶん出来ないんだろーね。
やろうと思えば、ブラウンを「輪」で飛ばして、清掃用のゴンドラに乗せる事くらいは出来そうだけど、せいぜいそこまででしょ。その先は、ブラウン次第になる。まあ、ちょっとピエロの仮面で脅かしてくれればいいかなーくらいに思ってたのかもしれない。
そしたらまさかの爆弾だろ。ハンスも慌てて、警察へ通報しちゃったんじゃね。いや、違うな、あえて警察を呼んで、コトを大きくしたんだ。その方が、あいつには都合がいいよね。Kはキクヒコのお見舞いに来れなくなるし、オレたちを混乱させるのが目的なら、騒ぎは大きい方がいい。
そう考えると、爆弾も用意してたのかもだな。ブラウンに渡すか、さもなければゴンドラに積んどけばいいからね。どーなるかはブラウン次第だけど、どのみち毎回、そんな行き当たりばったりな感じだもんな、ブラウンの場合」
思いつきの、あくまで想像、だよね。
ガブリエルはそう云ったし、Lもその「ガブちゃんの思いつきに乗っかると」ってことわりを入れてる。
ハンスがブラウンに何らかの指示をした事は、疑わしいけれど確定ではない。まだ何の証拠もない。
でも、ブラウンとハンスのつながり、で云えば、僕もひとつ思いついてしまった。
前にも話したような気がするけれど、その時は結論が出なかったのかな。
それとも、話そうと思ってただけで、僕の中で「わからない」で終わらせてたのかも。
それは、ハンスの能力について、だ。
彼が「輪」の能力を持ってるのは、どうしてなの。
ハンスは元々、ヌガノマホワイトに作られた博士のクローンで、失敗作として廃棄されかけてた子供だった、はず。
博士に拾われ、当時ラボにいたモニカの助けもあって、一命を取り留め、以後は博士の元で育った、という話だったよね。
Mによれば、ハンスのアルカナは、モニカが偶然完成させた人造アルカナのプロトタイプで、だから能力は、モニカ(A-0)と同じ「渦」のはず。
「輪」の能力は、ブラウンが遺伝子改造によって作り出した物とされてて、実験体だったキクヒコさんはその改造によって「輪」の力を身に付けてる。
だったらハンスは、いつ、どこで、改造され、「輪」の力を得たの。
モニカとナガヌマが博士の元を離れた少し後に、ホワイトとブラウンの例の諍いがあって、ブラウンは銃の暴発により死亡した(とされていた)。
それ以前に、ブラウンが博士の元にいたハンスを「改造」できるとは、思えない。
かと云って、それ以後は、ブラウンはレムナント化して生きてはいたけれど、地下に身を潜めていたはず。だから、ハンスを「改造」するような機会はない。
12年前、軍の撤退に紛れてアメリカへ渡ったハンスは、4年前にこの街へ戻って来るまで、ずっとアメリカにいた。
そして4年前に、クヨウケミカルの顧問としてこの街へ戻って来た。
いったい、いつ、どこのタイミングで、ブラウンによる遺伝子改造を受け、「輪」の力を手に入れたのだろう。
「おまえさ、念のため聞くけど。「故に、実はハンスは、とっくの昔にブラウンとつながってたのかも」って云いたいわけじゃないんだよね?」
困った顔でLにそう尋ねられて、僕も困った顔になる。
云いたいわけじゃなくても、そう云ってるのと同じ、って事だよね。
ふむ、とガブリエルがうなずいて、
「可能性で云えば、そうなるね」
あごに手を当てて、僕を見る。
「そもそも、だけれど、ハンスの身の上話は、そのほとんどがハンス自身の口から語られた事だよね。少しだけ、Mから聞いたモニカの話で、幼い頃に博士の元にいて、博士に育てられた、ってところは、裏付けが取れてる事になるけど、それ以外は、誰も真相を知らない。
こう云っては何だけれど、全てハンスの創作だったとしても、ボクらにはわからない。何よりあいつは、嘘つきだからね。あの公園で語った過去の話の、どこまでが本当なのか、今となっては、かなり疑わしい気がするよ。
だから、実は子供の頃に、博士に育てられつつもブラウンと親交があり、「改造」されてたとしても不思議じゃない。あるいは、成長する過程で、地下のどこかでレムナント化したブラウンと既に会っていて、アメリカに渡る前に「改造」されてた可能性もある。さらに云えば、もし撤退前に手を組んでいたのなら、ベースの放火にもハンスが一枚噛んでいたのかもしれない」
云われて、ゾッと背筋が寒くなる。
耳の奥で、ハナの悲鳴が聞こえる。
混乱と、混沌と、恐慌。
その為に、軍のいなくなった地下のベースに火を放つ。
時系列で云えば、放火の時点では既にハンスは軍とともに日本を離れていたはず、だけれど。
ブラウンをそそのかしたのが、ハンスなのだとしたら。
いったい、何故?
また、ぐるぐると出口の見えない迷路に嵌りそうになる思考を、ぐっと唇をかみしめて、引き戻す。
違う、それは、あくまで可能性。
Lの云う通り、疑い出したらキリがない。
いずれにしろ、僕は、ハンスに合わなきゃいけない。
できる限り、近いうちに。
「おいおい」
Lが驚いた顔で、僕を見る。ガブリエルも、同じように心配そうな顔で。
でも違う。ハンスと対決するわけじゃないし、今回の件を確かめに行くわけでもない。
毅然として前を向き、粛々と目的へ向かう
Nが云うのは、そういう事だよね。
「はい。お供いたします。無論、ゲンゴロウも、でしょう」
淡々といつものように、Nは云ってぺろりと鼻をなめる。
「もちろん、わたしも、ね」
魔法の声が云って、JはふわりとNのあごの下をなでてる。
やれやれ、とLが大袈裟に肩をすくめて、
「おまえね、一応云っとくけど、「それ」云えばどこ行って何してもいいってわけじゃねーぞー」
それ、とLが云うのは、
毅然として前を向き、粛々と目的へ向かう
Nの魔法の呪文の事かな。
「それだよ。免罪符か印籠みたいに得意げに振りかざしてるけど、ダメな時はダメだかんな。まあ、今回は止めねーけど」
ニヤリと笑う。
もちろん、わかってる。
もうひとりで、無謀に突っ込んだりはしないよ。
「じゃあ、ハンスの連絡先をメールしておくよ。心配だったから今まではボクがやり取りしてたけど、こうなったらもう、キミに任せた方が良さそうだよね。あいつも、キミから直接連絡した方が、いろいろと効果的な気がするし」
「だな。あいつは一度、ナガヌマちゃんにこっぴどくやられて、だいぶビビってるしなー」
はっはー、Lは楽しげに笑ってるけれど。
あれは、ビビってたんじゃなくて、ただの喉の機械の故障だってば。
「キクター、起きてー。朝だよー」
いつものルナの歌うような声がして、眼を覚ます。
一瞬、自分がどこにいるのかわからない感覚になる。
ルナが朝から「海」へ来た、のかな。
昨夜、僕は確か、オレンジの海のコテージで眠ってた、はずだけれど。
みんながそれぞれ引き上げて、僕もいったん自分の部屋へ戻り、夜のお散歩へ出かけるNを見送ってから、もう一度オレンジの海へ戻った。
そして、コテージのソファに倒れ込むように横になって、そのまま眠ってた。
オレンジの海の上に輝く、二重の太陽の眩しさに眼を細めて、辺りを見渡すけれど、ルナの姿は見えなくて。
そのまま、自分の部屋を「振り返る」。
僕の体はベッドの上に横になっていて、細く開いた部屋のドアから、ルナとハナがこっちを見てた。くすくす笑いながら。
「何でなの」
思わず飛び起きて、尋ねてしまう。
何で、どうしてルナとハナが僕の家に?
これはまだ、夢の中なの。
「何でって、何が?もう朝だよー。起きて朝ごはん食べる時間だよー」
当たり前じゃん、みたいな顔でルナは云って、「行こ」とハナの手をつないで、廊下を走り、階段を駆け降りていく足音が遠ざかる。
「ママー」
「ママー、キクタ起きたよー。やっぱりまだ寝てたー」
わははー、階下からふたりの元気な声が聞こえて、また脳がバグる。
ママ?って、誰。
ルナのママ?まさか、ハナのママじゃないよね。
ねぼけまなこを擦りながら、ぼんやりした頭で考える。
パジャマを脱いで、服に着替えて、階下へ降りると、キッチンでルナが僕を振り返って、
「あ、ママ、キクタ来たよー」
流しで何か洗い物をしてた母の袖を引いて、云う。
ママ
やっぱり聞き間違いとかではなく、うちの母の事、なの。
僕は、何か云いたげな顔でもしてたのかな。
おはよ、と振り向いた母が、何故か照れくさそうに、
「だって、ルナったら、ホテルでもずっと「キクタのママ」って呼ぶのよ。ハナも真似してそう呼ぶし。その通りだけど、何だかねえ」
云い訳するみたいに云う。
その通りなのだから、その通りじゃダメなの。
何だかねえ、って?「キクタのママ」じゃ、長ったらしいって事かな。
それとも、ホテルのロビーとか人が大勢いる場所でそう呼ばれると、他人行儀な感じでいやなのかな?
「だからー、るなが「じゃあママって呼んでいい?」って聞いたの」
えっへん、みたいな顔で、何でルナはそこで得意げな顔してるの。
まるで名案だとでも云いたげだけれど。
どんな顔をしたらいいのかわからず、僕が困っていたら、ハナがスッと僕の手を引いて、
「キクタのママだから、はなちゃんのママでもいいよね」
サングラス越しのオレンジの眼で、じっと僕を見上げてる。
いいよね、って、ハナの理屈はよくわからないけれど、その眼はずるいな。
「うん、いいよ」
するりとそう返事してしまってた。
まあ、いいのだけれど。
母もうれしそうだし。
ルナがニヤニヤしながら寄って来て、
「じゃあ、キクタも「ママ」って呼んでもいいんだよー」
肘で僕の脇腹辺りをつんつんしてるけれど。
「いや、僕は別に、いいかな」
小さい頃からずっと「お母さん」だし。今さらそんな、恥ずかしい、よね。
母がコホンと小さく咳払いをして、
「朝ごはん、リビングに用意してあるから、食べてね。あたし達は買い物に行くけど」
「あ、はい。行ってらっしゃい」
返事をして、リビングに向かいながら、首をひねる。
あたし達?
ルナとハナを連れて、買い物に行くのかな。歩いて?いや、まさかね。じゃあ父も運転手でついて行くのか。
リビングをのぞいたら、くたくたの革ジャンを着た父が、ニヤニヤしながら部屋の方からやって来る。
「お、おまえさん、起きたのか。ちょっと、買い物に出て来るよ」
「はい、行ってらっしゃい」
適当に流して、母が朝食を用意してくれてたテーブルに着こうとしたら、父にぐいっと腕を引かれて、
「ああもう、おまえさん、もっとニコニコしなさいよ。今日は念願の、お好み焼きパーティだぞ?」
またわけのわからない事を云い出す。
念願の、お好み焼きパーティ?
それはいったい、誰の念願なの。僕のじゃないけれど。
ルナがひょっこりキッチンから顔をのぞかせて、
「あれ?あんたが云ったんじゃないの。みんなでお好み焼きパーティしよーって」
「云ってないけれど」
答えたら、ルナの下からハナがぴょこんと顔を出して、
「キクタ、お好み焼き、好きじゃないの」
また、オレンジの眼で、じっと見る。
いや、だから、それ・・・
「ううん、好きだよ、お好み焼き」
にっこり笑って答えてしまう、よね。
ハナもにっこり笑って、
「やったー」
元気に両手を上げて、バンザイ、かな。
「やったー」
ルナもその手にハイタッチで応えてる。
いや、ちょっと待って、何だかすごく自然に馴染んでるけれど。
ルナとハナだよね。ここは僕の家だよね。
母は、荷物を取りに帰って来たんじゃないの。しばらく、ホテルに泊まるからって。
買い物も、何かその、3人でのホテル滞在に必要な物を買いに行く、とかではないの。
「お好み焼きの、材料を買いに行くの」
尋ねたら、ルナがあきれたような顔をして、
「当たり前じゃん。じゃあ何を買いに行くのよー。ちょっとー、あんたまだ寝てるんじゃないのー」
いつものように、歌うように語尾を伸ばして云う。
いや、何って、そうだよね。お好み焼きパーティだもんね。
反論する元気もなく、席に付く。
ルナはまた「ママー」とか云いながら、キッチンへ姿を消し、ハナもついて行ってしまった。
父が楽しそうに「はっはっはー」とか笑って、油断してた僕の頭をもしゃもしゃかき混ぜながら、
「おまえさん、大丈夫か?学校でルナちゃんに、やり込められてるんじゃないか」
どこかで聞いたようなセリフを云う。
「それ、おじいちゃんにも云われたけれど」
頭もしゃもしゃを無視して、ロールパンにかぶりつきながら答えたら、
「ええ・・・」
父には意外にも効果的だったらしい。頭もしゃもしゃの手を引っ込めて、あごに手を当てて唸ってた。
何でだろ、おじいちゃんに似てるの、いやなのかな。
まさか嫌いって事はないと思うけれど、ただ照れてるのかもしれない。
4人が賑やかに出かけて行くと、家の中が急にしんと静まり返ってしまった。
まあ賑やかなのは主にルナで、彼女が何か云う度に、ハナと母が楽しそうに笑ってたのだけれど。
リビングのソファに腰掛けて、静かすぎるのでテレビでもつけようかな、とリモコンに手を伸ばしたら、からりと砂浜の風鈴が鳴る。
「振り返る」と、白い木枠の窓が開いていて、テラスにルリおばさんが立ってた。
「もう起きていいの」
僕もテラスへ降りて、思わずそう尋ねてしまって、あ、違うか、と気づく。
ここへ来るのは、意識体だものね。ルリおばさんの体は、まだ病院のベッドで寝てるはず。
「退屈なのよ」
テラスの椅子を引いて、座りながらルリおばさんは云う。
入院が、って事かな。そんな、子供みたいな。
「あら、あんたにそれ云われたくないわねえ。病院嫌いで、最後まで断固として入院しなかったくせに」
そう云って、ルリおばさんはくすくす笑ってる。
それは、僕は覚えてないけれど。
ぱちんと指を鳴らしてお茶を出し、僕も椅子に腰を下ろす。
「あ、そうだ、ルナとハナだけれど」
云いかけたら、ルリおばさんはうなずいて、
「今朝、ナナに聞いたわよ。びっくりよねえ、まあ、キョウコさんって感じだけれど」
はにかむように微笑む。
母がふたりに付き添ってホテルへ行った事、じゃあ、ルリおばさんも承知してるんだね。
「今も、買い物に出掛けてるよ、4人で」
「4人って?あんたは一緒じゃないの。それとも、キイチロウさんが留守番かしら」
「うん、僕が留守番。最後に起きたから、かな、置いて行かれた」
「あらあら、それなら、ちょうど良かったわね」
ふふふ、とルリおばさんは笑う。
まあ、そうだね。
急に家の中が静かになってしまって、テレビでもつけようかと思ってたところ、だったので。
「こっちも似たようなものね。テレビはあるのだけれど、普段見ないからかしらね、つけてもうるさいだけだし、すぐ消しちゃったわ。病院の中をぐるっと回ってみたけれど、別に楽しいものなんてないし。この状態で1週間?2週間?なんて絶対無理。また脱走しようかしら」
物騒な事を言い出すので、お茶を吹き出しそうになってしまう。
「アンドウ先生も云ってたよ。「数日は絶対安静」って。病院内をうろうろするのも、本当はまだダメなんじゃないかな」
「アンドウ先生って?ああ、アイのお父さんね。絶対安静なんて大袈裟よ。だってほんとに、片耳が聞こえないだけなんですもの。もうとっくに血も止まってるし、傷も塞がってるって事でしょ。あ、でも爆風に押されて転んだからかしらね、肘と両膝に大きな青あざができてたわ。嫌ぁね。まあ、見えないからいいけれど」
すっかりいつも通りのルリおばさんで、僕は安心してホッと息をつく。
からりと貝殻の風鈴が鳴って、基地のドアが開く。
「あー、やっぱりルリちゃん来てるんじゃん。もー、キクちゃんたら、なんで呼んでくれないのよ」
ふわりとドアから飛び降りて、お得意のルリおばさんの口真似を交えながら、Lはニヤリと笑ってる。
「ちょっと、ミカエル。何それ、あたしの真似なの。やめてよ恥ずかしい」
ルリおばさんは苦笑しながら、ひらひらと手を振ってる。
「L、もう起きてたの。めずらしいね」
このところいつも、時差の関係で?夜遅くまでスクーリングしてるって聞いてたので。
「あーそれね。今週は、スクーリングはお休みだよ。その代わり、東京で毎日早起きして、あちこち回ってたからねー。早起きがクセになっちゃったみたいな?」
いつもの席に「どっこらせ」と胡座をかきながら、Lは陽気な笑顔で云う。
「毎日早起きって、東京で市場でも行ってたの」
ルリおばさんがまじめな顔で尋ねるので、驚いた。
市場って?生花とかお魚とか?確かに朝早く、と云うか、まだ暗いうちから動いてるイメージだけれど。Lが市場に用があるとは思えない、よね。
「まさかね?行ってたのは、博物館とか、国立天文台とか、そーいうのだよ。あー、あと工場見学も行ったね。こっちじゃ行きたくても、そもそもないからねー」
なるほど、朝早くにやってる何かを見に行ってたわけではなく、いろんな所をじっくり回りたいから早起きしてたって事だね。
「試験を受けに行ってる時にまで、まだ博物館とかで他の勉強をしてたの」
あきれ顔でルリおばさんは云うけれど、
「勉強?じゃないでしょ。趣味だよねー。あ、でもちょっとだけ、論文のネタ探しみたいなのも兼ねてたけど」
へへへ、と少し照れくさそうにLは笑う。
論文は、大学入試の、だよね。おーちゃんの事を書くんじゃなかったの。
僕が尋ねたら、ルリおばさんがピコンと反応して、
「おーちゃんって、ルナの黄金虫よね?論文なんかにしちゃって大丈夫なの。誰も読めないんじゃない?」
「そこは、上手に書くから、安心して。名前や具体的な情報はさすがに書けないし、書いたら読んだ人が固まっちゃうだろーからね。あくまで架空の生き物として、書くつもりだよ。もちろん、ただの想像だけじゃ論文にならないから、「認識の喪失」に触れない範囲で、事実も交えて、だねー」
「まあ、あんたの事だから、その辺は上手に書くのでしょうけれど」
と云う事は、ルリおばさんも、おーちゃんの事は知ってるんだね。
「知ってるも何も、ランドセルからのっそり出て来て、あの子の服にとまってるのを最初に見つけたのはあたしなのよ?危うく悲鳴を上げるとこだったわよ」
それはそれは。
なんとなく、その様子が眼に浮かぶような気がする。
ちょっとあんた、何を服につけてるのよ、と慌てるルリおばさんに、えー何って?あー、おーちゃんだー、みたいにいつも通りのんきなルナの姿が。
「概ね当たってるわね。何よそれ、「聞こえた」ってやつ?」
まさか、ね。聞こえないよ、ただの想像だけれど。
からから、と貝殻の風鈴が鳴って、お庭の窓が開く。
「あ、やっぱり、ルリさん」
ふわりと窓から、Jが砂浜に降りて来る。
「何なの、あんた達。揃って暇なの。せっかくの日曜日なのに」
うれしいくせに、跳ねっ返りのルリおばさんはまた、そんな憎まれ口を云う。
おじゃまします、と頭を下げて、Jがテラスへ上がって来て、ルリおばさんの隣に座る。
「まあ、暇さで云えば、あたしが一番よね」
うんざりした顔のルリおばさんに、Jが、
「ルリさん、暇なの。じゃあ、みんなでお見舞いに行こうか」
くるりと僕らを見回す、けれど。
「いいわよ、わざわざ来なくて。お見舞いならここで十分でしょ」
云うと思った。
ふふん、とルリおばさんは鼻で笑って、
「そう云えば、ミカエル、あんた、ひとりで東京へ行ってたの。ホテルはどうしたのよ、小学生がひとりじゃ、泊まれないでしょ?」
云われてみれば、だよね。
誰かと一緒だったの、お母さんとか?
「いやあ、ひとりだよ。ホテルは、まあフツーはね、泊まれないんだろーけど。そこは、ほら、ミクリヤだから」
何故かナナメ上の方を眺めて、Lは云う。
ミクリヤだから?って何。
まさか、東京でもお殿様なの。
「おい、そんなわけないよね。将軍様じゃあるまいし。ミクリヤ系列の、東京のホテルだから、ね」
何故か云いづらそうなLを庇うように、「ふふふ」と笑い声がする。
ふわりとレースのカーテンが揺れて、
「ホテルの偉い人に父が電話で一言、「よろしく」って云えば、小学生ひとりでも、何の問題もなく泊まれるよねえ。しかもVIP待遇で」
ガブリエルが楽しそうに云う。
「こら、VIP待遇とか云うな。オレは普通の部屋でいいって云ってんのに、親父の指示だか、支配人が気を使ったんだか知んねーけど、最上階のスイートルームだぞ。新婚旅行じゃねーんだよ、おい。速攻で変えてもらったけど、フツーのシングルルームに」
なるほど、Lが云いづらそうだったのは、そういう訳か。Lはそういうの苦手だもんね、お嬢様的な扱いをされるのとか、特に。
「部屋が広すぎて落ち着かないって事?試験に集中できなくなるとか」
くすくす笑いながら、ガブリエルがいつもの席に座る。
Lに限って、それはないと思うけれど。
「本家のお嬢がスイートに泊まってるって図式がまずイヤだろ。スタッフさんも気を使うだろーしさ。いや、部屋変えてもらうのもね、ちょっと考えたのよ。あちらはせっかく用意してくれたんだしさ。それに、それはそれでワガママじゃん、いわゆるお嬢様的なね。だからどーかなとも思ったんだけど、5泊だからね。1泊なら我慢しちゃったかもだけど、さすがに嫌すぎだわと思って」
そう云ってLは、見えない誰かにぺこりと頭を下げてる。東京のホテルの、部屋を用意してくれてたスタッフさんに、かな。
「ふぅん」
自分で質問したくせに、どうしてルリおばさんは、そんなどうでも良さそうな返事なの
「ちょっとキクちゃん、どうでも良さそうって何よ。ちゃんと感心してるじゃない。今のは、あれよ、考え事してたの」
そう云って、ルリおばさんは少しまじめな顔になって、
「あたし、昨日、ハナとルナを、フツーにふたりでホテルに泊まらせようとしてたのよね。まあ実際、ナナがいるから、心配な事なんて何もないのよ。でも、客観的に見たら、小さな小学生の女の子ふたり、なのよね。そりゃ、キョウコさんが「ついて行く」って云うわよねえ」
それは、僕もそう。
ナナがいるのはもちろんだけれど、ルナもだいじょうぶ、そう思ってた。
ふふ、とルリおばさんは少し笑って、
「まあ、あの子も中身はフツーじゃないからね。それで、今の話を聞いて思ったのよ。もしキョウコさんがその話を聞いてたら、東京のホテルまでミカエルについて行ったんじゃないか、って」
それは、どうだろう。状況が違うよね。
「じゃあもし、状況が一緒だったらどう?ミカエルの母親が入院中、父親はどこか遠くへ出張中、だったとしたら?ついて行くでしょ、キョウコさん」
一緒だったら、どうだろう。
Lのお母さんとうちの母とは面識がないし、それはお父さんもそうだけれど。Lの事は、母は良く知ってるし、大好きだ。
「それは関係ないわよ。だって、それを云うならこっちは余計に複雑よ。アタシの認識は半分以上消えちゃってるし、ハナの事もキョウコさんは覚えてないでしょ。ルナともほぼ初対面。それでも迷わず「行く」って云ったんでしょ」
そう云って、ルリおばさんは遠くのオレンジの海を眺めて、大きなため息をつく。
「敵わないわよねえ。さすがだわ」
それは、キョウコさんが、って事、かな。
「そうよ。だから、キクちゃん。あんた、大事にしなきゃダメよ。あんたが選んだ「お母さん」なんだから」
急にそんな事を云われて、僕は面食らってしまった。
でも、それはそうなのだろうなって思う。
別に大事にしてない事はないはず、だけれど。いや、余計な心配をかけたり、いろいろ迷惑かけたりもしてる、か。
それが母を大事にしてないって事になるなら、今後はもっと気をつけないと、だね。