アイの真似をして、草むらに埋もれかけた錆びた鉄のくずかごにアイスの棒を捨てる。
このくずかごのゴミが回収されることはなくとも、アイスの棒はいずれ風化して土に還るのかも、なんて、全く別の事をふと思いながら、
「さっきの話だけど」
アイに尋ねる。
「ミクリヤ家は、何か事情があってガブリエルを隠してる、っていうあれ。何か証拠でもあるの?」
アイは少し難しい顔をして、
「養子縁組の時には確かに双子だったはずの子供が、小学校入学の時にはひとりしかいねえ。それって証拠にならねえか?」
そう、質問で返してきた。
たしかに、状況証拠というか、間接証拠、というやつにはなるのかな。
だから隠してるはずだ、とまでは云えないとしても。
「それと、あの日のミカエルの言葉。俺の「ガブリエルはどこにいる?」に対して「おまえがそれ知ってどうすんの?」って云った。あれって、ガブリエルを隠してることにならねえか」
ふむ、
「そっちは少し弱いかな。L、あーミカエルは、たしかに肯定はしてないけど、否定もしてない」
質問を質問にすり替えただけ、だね。
「ただ、隠そうともしてない。そのあと、「じゃあ教えてやる。そのかわり、今からちょっと付き合って」って云ったんでしょ。その時点では、あんたに教える気はあったはず」
「むう・・・」
アイはしかめっ面のまま、そう云って黙り込む。
僕は、JといっしょにLのお見舞いに行った日のことを、もう一度思い返したみた。
Lのお母さんの言葉、
「ミカエルも代謝が落ちているから」
「何年も眠り続けるようなそんな病気は」
「いっそ童話みたいに、悪い魔女の呪いが原因って云われたほうが気が楽」
そして、庭師のシジマさんが云った、
「Kの坊は、うちの坊と同じくらいかね」
という言葉。
それらは、ひとつの事柄を指し示している、気がする。
それはすなわち、
ガブリエルは、何年も前から眠っている、あの広大なミクリヤのお屋敷のどこかで。
アイは難しい顔で考え込んだままだった。
本当に心から、心配しているのだろう。
12年前、いっしょに教会に置き去りにされた仲間のことを、その行く末を、まるで本物の兄弟のように。
ちょっと不器用で無愛想だけれど、根はやさしい、いいやつなのだとあらためて思う。
さんざん僕の聞きたいことだけを聞いて、難しい顔をさせたままにしておくのも忍びない。
そう思ったので、Jとお見舞いに行った時の話と、たぶんガブリエルもだいぶ以前から眠っているという僕らの想像から導き出された推察を、かいつまんでアイに話した。
「そう、か」
黙って僕の話を聞いていたアイは、聞き終えると短くそう云って、また黙り込んだ。
アイにとっては、かなり重い話だろう。
推察通りなのだとすれば、4人の赤ちゃんのうち、3人が次々に原因不明の眠りについている、という事になるのだから。
残るは、アイ、ただひとり。
「もし、そうなら」
アイが顔を上げて、僕を見る。
「おまえの想像通りなら、ガブリエルは、あのミクリヤの屋敷にいるんだよな。ずっと眠ってるとしても、ちゃんと、生きて、いるんだよな」
「想像通りなら、おそらくね」
僕がうなずくと、アイは大きな大きなため息をついて、
「ああ、よかった」
心からほっとした顔で、そう云った。
こいつ、
いや、この子、すごいな。
「あの、あんたも眠るかもってこと、ちゃんとわかってる?」
思わず心配になって、そう聞いてしまった。
「わかってるけど、そんなの大した事じゃねえだろ。いや、大したことか?わかんねえけど、それよりガブリエルがちゃんと生きてるってことの方がよっぽど大事だろ」
ただ、生きていてほしい、それだけでいい、他はすべて大したことじゃない。
そんな言葉を、ふと、以前にも聞いたような気がした。
でも、いったいどこで?
「それに、もし俺が眠っちまったとしても、俺らにはまだ、おまえがいるだろ」
アイは僕の顔を見てそう云って、にっと笑った。
なんなんだ、こいつ。
少年マンガの読みすぎじゃないのかな。
そう思ったけれど、アイの考え方は、僕もきらいじゃないなと思った。
それは、認めざるを得ない。
「で、ここっていったいなんなんだよ」
ひとまず、ガブリエルが無事(かもしれない)と知って安心したのか、あらためて辺りを見渡して、アイが僕に尋ねる。
「放棄された工事現場。その駐車場だった場所」
そのままを、僕は答えた。
「おまえ」
アイはまじまじと僕を眺めて、
「しつこいようだけど、ガブリエルじゃないんだよな?だとしたらなんなんだ?おまえもあれか、ミカエルと同じあれなのか?なんでそんなにそっくりおんなじ事云えるんだよ」
不思議そうな顔になって、そうわめいた。
「Lにも聞いたの?」
僕がLと同じ返答をした、という意味なのかなと僕は捉えたので、そう尋ねる。
アイはうなずいて、
「あの日、ここに着いて、あいつがその真ん中あたりに立って周りを見回してた時にな。ここはいったいなんだ?って聞いたら、さっきのおまえと全く同じことをあいつも云った。一字一句まったく同じだぜ?なんだよおまえら、怖えなあ」
それは、ただの偶然だと思うけれど。
それに、放棄された工事現場とその駐車場だった場所なのだから、それ以外に云いようがない、よね。
「あ、でもあいつ、その後で「昔、隕石が落ちたのもこの辺じゃなかったっけ」とかも云ってたな」
半年前の記憶を辿るように、遠い目で夏空を見上げながら、アイは云う。
「隕石?」
それは初耳だった。
「この辺に隕石が落ちたって、Lが云ったの?それに「昔」っていつ頃の話?」
「そこまではわかんねえよ。そう云った後、すぐにあいつがしゃがみ込んじまったんだから、その話はそこで終わった」
アイは肩をすくめてみせる。
隕石。
宇宙から、地球の重力に引かれて落ちてくる、小惑星やその破片、とかだったはず。
本当にそんなものが落ちてきたのだとしたら、大騒ぎになるのでは。
以前にニュースか何かの動画で見た、外国のどこかの都市の郊外に隕石が落ちた時の映像を思い出した。
太陽よりも明るい光球が、光の尾と黒煙を長く引きながら落ちてくる映像。
そして落下直後の、ビルや家々の窓ガラスがすべて粉々に割れて落ちている画像。
落下地点の付近では森の木々や木造の家がほとんど吹き飛ばされていて、直径何百メートルもある大きな抉れた地面、クレーターができていた。
そんなものが、この辺りに?
ニュースにもならないくらいの昔、という話なのだろうか。
「そんなに気になるなら、調べに行くか?市の図書館なら、夏休みでも開いてるだろ」
そんなに気にしていたつもりはなかったのだけれど、アイはそう云って立ち上がったので、思いのほか、僕は考え込んでいたらしい。
でもたしかに、いま手がかりと云えそうなものは、半年前にLをこの場所へ導いた「線」が何を指していたのか、という事くらいだった。
場所なのか、それとも別の何かなのか。
もし場所なのだとしたら、昨日のあの砂浜も怪しいのか?ということになるけれど、あれはJの思い出の場所だっただけ、のはず。
眠気に逆らってJはあの海へ向かったのだから、何かに導かれてここへ来たLとはまた違う気がする。
だとしたら、それぞれの場所そのものではなく、この場所、放棄された工事現場の駐車場に、何かがある、のかもしれない。
アイはマウンテンバイクに跨ると、「乗れよ」と後ろの荷台を親指でさしている。
いやいや、何云ってるの。ふたり乗りはだめでしょ。しかも向かうのは市内の図書館だし。
僕は首を横に振って、
「僕んちすぐそこだから、自分の自転車乗ってくるよ」
そう云った。
200メートル四方はある工事現場をぐるりと半周?4分の1周?回り込まないといけないので、正確には「すぐそこ」ではないけれど。
「ふたり乗りはだめってか。おまえ、ジーンみてえなくそ真面目さだな」
口ではそう云いながら、アイはにやにや笑っていた。
この妹大好きばか兄貴め。
スルーして僕はさっさと家に向かって歩き出す。
「おい、待てって」
アイはまた律儀に自転車を降りて、重い電動マウンテンバイクを押しながら、僕の横に並んで歩き出した。
図書館にはまったく縁のなさそうなイメージだったのだけれど、アイは慣れた仕草で館内検索用のパソコンを操作していた。
僕がじっと眺めていると、不意にこちらを向いて、
「あ、おまえもしかして、俺がパソコンも操作できねえ脳筋ゴリラだとか思ってたんだろ?」
そのままずばり云い当てたので、少しびっくりした。
「なんだその顔、図星かよ。全くどいつもこいつも」
以前にもそんなことがあったのだろうか、ぶつぶつ云いながらも、アイはさくさくと画面を操作して、いくつかのファイルをまとめてた。
過去の新聞記事をスキャンしたデジタルデータ?らしい。
「あっちに、閲覧用のPC席あるから、行こうぜ。座れるし」
アイが図書館のカウンターで借りてきた携帯メモリにデータを読み込ませてから抜き取り、奥の閲覧席とやらへふたりで移動した。
「結果から云うと、思ったより少なかったな。隕石なんて、こんな田舎の街にしたら大ニュースだろうと思ったんだけどな」
アイはそう云って、閲覧用のPCにメモリを差し込み、読み込んでいたファイルを順に開いて見せてくれた。
ひとつめのファイルは、古い全国版の新聞記事だった。写真はなく、見出しと説明文だけの小さな記事だ。
日付は、80年ほど前の冬、12月22日とあった。
22日の夜半過ぎ、ハイノ市郊外のミドノ原に飛行物が落下。隕石と思われる。
それだけだった。
「これだけ?」
あまりにも扱いが小さすぎでは。
思わず不平をもらすとアイが
「まあ、全国版の地方記事なんてこんなもんだろ。80年前って云えば、戦争が終わってすぐとかそれくらいだろ?みんなばたばたしてて、こんな田舎の街はずれに落ちた隕石なんかに構ってる暇なかったんじゃねえか?」
と、よくわからない慰めの言葉をかけてくれた。
次は、地方新聞の記事だった。父の勤める新聞社だ。もちろん、80年前だから父は勤めていないけれど。
見出しは全国版とほぼ同じ、「ハイノ市郊外のミドノ原に飛行物が落下。隕石か。」とあって、本文が続いていた。こちらも写真はなかった。
22日夜半過ぎ、ハイノ市郊外のミドノ原付近に巨大な飛行物が落下。隕石と思われる。
隣接するトネリ市に駐留、演習中だった米陸軍第九七師団から救援と調査のために120名の兵士が派遣された。市民に死者、行方不明者はなし。
それだけだった。
「ふむ・・・」
「いや、云いたいことはわかるぜ。俺も同じだ」
アイはそう云って、残り3つのファイルをぱらぱらと続けて開いたけれど、どれもほぼ、最初に見た全国版とほとんど一緒だった。
見出しと、1、2行の本文だけ。写真はもちろんなし。
判で押したように、全て隕石落下当日の第一報のみで、内容もほぼ同じ。
その後の調査結果や隕石の詳細を知らせるような続報もない。
隕石落下に伴う二次災害、火災や停電、断水などの関連ニュースもない。
そんなことって、あるだろうか。
「もっかい、検索してみるか」
脳筋ゴリラだと思われるのがそんなにいやだったのかな。
アイは閲覧用のパソコンから、館内検索画面を呼び出して、再チャレンジを始めた。
キーワードを足したり変えたりしていろいろ試していたけれど、結果は変わらなかった。
「これは、ひょっとして」
アイは急に声をひそめた。もともと、図書館なので小声で話していたのだけれど、口元に手をかざして、囁くように、
「米国諜報部の陰謀か、米軍の隠ぺい工作とかじゃねえか?」
辺りをうかがうようにきょろきょろしながら、そう云った。
もしかしたら、とは僕も思ったけれど、だからって、周りに米軍のスパイやどこか敵国の諜報員がいるわけでもあるまいし。
アイ、なんとかファイルとかの海外ドラマの見過ぎでは。
隕石の落下に米軍の介入とくれば、ついついそんな想像をしてしまうのもわからなくはないけれど。
ただ、すべてが通り一遍の報告だけに終始している点から見ても、緘口令てきなものが敷かれたと考えて間違いはなさそうだった。
示し合わせたように、さも何事もなかったかのようなニュースの形で終わりにしているのが、逆にすごく不自然な気がする。
「そうかも」
短くそう答えると、アイは不満そうに鼻を鳴らした。
陰謀論トークに乗らなかったのがどうやらご不満らしいけれど、気づかないふりでスルーする。
「ところで、ミドノ原ってどこ?」
そう尋ねると、
「はいはい、いま調べますよ」
ふてくされた顔で、それでも素直にアイはパソコンで検索してくれた。
「おまえんちのあるニュータウン辺りの旧称?らしい。旧称ってなんだ?あ、昔の呼び名ってことか。じゃあミカエルのやつ、やっぱりこの事を云ってたんだな。なんでこんなの知ってんだ?天才ってすげえな」
感心したように、アイはそう云った。
たしかに、それも気になる。なぜ、Lはそんな事を知ってたのだろう。まさかアイの云うように、天才だからってありとあらゆることを知っているわけでもあるまいし。
何かを調べていて、その情報に行きついたのだろうか。
Lが調べていたこと。
「能力」についてか、あるいは、ガブリエルの「眠り病」に関することか。
それが、隕石と何か関りがあるのだろうか。
「アイ、隕石の落下地点を見てみたい」
せっかく図書館へ来ているのだし、気になる事は全部調べておきたかった。
「でも写真はいっこもなかったぞ。ああ、参考までに他の隕石の、ってことか」
アイは画面を画像検索に切り替えて、隕石の落下地点を検索してくれた。
隕石と云っても様々で、片手で持てるような石ころサイズのものもあれば、何万トンもあるような巨大なものまであるらしい。
小さな隕石が家の屋根と天井を突き破ったり、壁を破壊したりした画像も出てきたけれど、「これは違うな」とアイはさっさと画面を切り替えた。
さっきの新聞には「巨大な飛行物が落下」と書かれていた。
何メートル以上あれば「巨大な」に該当するのかは、僕にはちょっとわからなかったけれど。
検索で得た情報によると、直径が十メートル以上もあるような隕石が落ちた場所には、直径数百メートル以上、深さ数十メートル以上の巨大なクレーターができるらしい。
直径数百メートルのクレーター?
アイも、僕と同じことを考えていたらしい、
「おい、あの、おまえんちの前の工事現場って・・・」
そう云いかけて、僕を見ている。
高い鉄製の仮囲いの塀にぐるりと周囲を取り囲まれているので、外から塀の中を見ることはできない。
でも、僕の家の2階、つまり道路に面した僕の部屋の窓からは、塀の向こう側を少しだけ見ることができる。
こちらの塀越しに、200メートル以上向こうにある反対側の塀沿いのその中が見える、けれど。
「なにもない」
「え?」
「なにもない、黒い土の地面が見えるだけ、2階の僕の部屋の窓から。もちろん、こっち側の塀があるから、全体は見えない。見えるのは、向こう側の塀に沿ったほんの一部分だけ、なのだけれど」
「むう・・・」
アイは腕組みをして、黙り込む。
もしも、僕らの想像通り、あの工事現場の塀の中に、クレーターがあるのだとしたら・・・。
いや、クレーターのある場所を隠すために、周囲を高い塀で囲ったのだとしたら、そのクレーターは、当然あの場所の中心に位置しているのではないだろうか。
つまり、2階程度の高さからでは、どちら側から眺めたとしても、反対側の塀沿いの地面、あの場所の端っこの地面しか見えないことになる。
中心も含むあの場所全体を見るためには、上空から見下ろすか、
「塀の中に入ってみるか」
腕組みをしたまま、小さな声で囁くように、アイはそう云った。
同じことを同じように考えていたのだろう。でも。
「おいまさか、また「それはだめ」じゃねえよな?」
アイは挑むような顔つきで、僕を見ていた。
普通に考えれば、もちろん、それはだめ、だろう。
あの土地の持ち主が今は誰なのかも知らないけれど、勝手に他人の土地に入り込めば、それは不法侵入だ。
入る事まかりならぬとばかりに、周囲を塀でがっちり塞がれた土地ならなおのこと。
でも、
「入れない」
僕は短く云った。
「はあ?俺は入れるぜ。あそこがなんなのかはしらねえけど、あいつらを助ける方法が見つかるかもしれねえなら、入って中を確かめてみねえ理由はねえ」
図書館なので小声だったけれど、アイは気合十分にそう云い切った。
でも。
「そうじゃない。物理的に、入れないんだ」
父の家に住むようになってしばらくたった頃、なんとなく気になって、あの工事現場をぐるりと1周まわってみたことがあった。
普通、工事現場の仮囲いの塀には、作業員が出入りするための扉があったり、大型の車両が出入りする場所には、塀が折りたたまれて大きく開閉する出入口があったりするものだけれど、不思議なことにあそこの塀には、それがなかった。
行けども行けども、同じ塀が延々と続いていた。
どこかに扉でもあって、たまたま施錠されていなかったりしたら、中をのぞけるかも、くらいの軽い気持ちで歩き始めたのだったけれど、途中でだんだん気味が悪くなってきたのを覚えている。
本当に、入り口もすきまも何もない、ただひたすらに、途切れなく続く鉄の塀の連なり、それだけだった。
出入りは考えていない。ただ、何かを隠すための塀。その時の僕には、そうとしか思えなかった。
そう説明すると、さすがにアイも息をのんだ。
「そんな、そんなことってあるか?それ、いつの話だ?おまえがまだ小学校上がる前とか、小さかった頃だろ?だったら、見落としただけなんじゃねえか?」
「そうかもしれない」
なんとなく気まぐれに、ほんのちょっとした近所の探検気分で、ぐるりと回ってみただけだった。
注意深く観察しながら見て回ったわけじゃなかったから、アイの云うように見落としがあっただけかもしれない。
「とにかく、今日はもうだめだな。明日、あらためてあの工事現場へ行ってみようぜ」
壁の時計を見上げながらアイがそう云うと、見計らっていたかのように、外から17時のチャイムが鳴り響くのが聞こえた。
隕石の新聞記事をプリントアウトしてもらって、アイとふたりで図書館を後にした。
記事をプリントアウトしたのは、持ち帰って今夜にでも父に見せて、何か知らないか聞いてみようと思ったからだった。
アイは何も云わずに、自転車を並べて僕に着いてきた。家まで送ってくれるつもりらしい。
何と云うか、本当に不愛想なくせに律儀でやさしいお兄ちゃんだった。
市街地を抜け、ニュータウンに入ったあたりで、前方に母が歩いているのを見つけた。
仕事帰りの帰宅途中らしい。
アイもすぐに気づいて、「あれ、おまえの母さんだよな」と云うなり、ペダルをぐいっとひとこぎして、母の横に並んだ。
「こんにちは」
不愛想なくせに外面はいいタイプでもあるのか、アイは元気に母に挨拶していた。
「あら、アイちゃんじゃない、昨日はありがとうね。どうしたの、こんなところで」
驚いた顔で振り返り、アイだと気づくと母はうれしそうににっこり笑って云った。
「キクタが、図書館で調べものしたいって云うから、いっしょに行ってきた。いま帰ってきたとこ」
僕の方を振り返りながら、アイが云う。
母も振り返って、僕を見た。そしてまたアイに、
「あらまあ、それはそれは、今日もありがとうね。夏休みの宿題かしら」
と笑いながら云う。
「うん、まあ、そんなとこ」
アイは、嘘が下手だ。急にふいっと空を見上げて、適当な返事をしている。まあ、らしいと云えばらしいけれど。
ふふっと母は笑って、
「じゃあアイちゃん、お礼にうちで晩ごはんでも食べてく?」
すごいことを云いだした。
いや、知らないだろうけどおかあさん、僕、昨日までこいつのこと大嫌いだったんだよね。
いつかビームで倒そうと思ってたくらいに。
「いやいや、俺ももう帰らねえと。昨日夜勤だったから今日は親父が家にいるだろうし、遅くなるとまためんどくせえこと云われるから」
アイは慌てて母に手を振って誘いを断り、僕の方を向いて、
「じゃあキクタ、俺帰るわ。また明日な」
そう云って、右手を上げてみせる。
「うん、また明日」
僕が答えると、アイはくるりと自転車の向きを変えて、またぐいっとペダルをひとこぎして市街地へと走り出した。
「キクタを送ってくれてありがとう、気をつけてね」
母がアイの背にそう声をかけると、アイは振り返りもせずに、右腕を上げてぐいっと力こぶを作るようなポーズをして見せ、そのまま走り去った。
母の横に並んで、自転車を降り、押して歩き出すと、母は僕の顔を見て
「ふーん」と意味深な笑みを浮かべた。
「なに?」
何が「ふーん」なのかわからなかったので、聞いた。
「ジーンちゃんといい、アイちゃんといい、あんた、年上に好かれるタイプだったのね。知らなかったなあ」
にやにや笑いながら、母はそんな事を云う。
それは、僕も知らなかった。そうなのかな。
「そういうとこ、あんたのお・・・」
そう云いかけて、急に母は止まった。
まるで、時間が母の回りだけ停止してしまったみたいに。
家へ帰るために進めていた歩みも止まり、何かを云いかけて口を開いたまま、母は固まっていた。
時間にして、ほんの2〜3秒のことだったと思う。
僕も足を止め、母を振り返る。
「おかあさん、どうかした?」
声をかけると、母はまるでいま目が覚めたみたいに「はっ」と息を吸い込んで、
「あら、今、なに云おうとしたんだっけ」
ぼんやりと僕を見つめてそう呟いた。
急に具合でも悪くなったのかと少しびっくりしたけれど、そんなことはなさそうだった。
「いやあね、働きすぎかしら」
頬に手を当てて、母は苦笑していた。
夜、晩ごはんを食べ終え、お風呂から出ると、父がリビングで新聞を読んでいた。
母は僕と入れ替わりにお風呂へ入って行ったので、リビングには父ひとりだった。
ソファに座って、
「父さん、昔、この街に隕石が落ちたの知ってる?」
母譲りの直球ど真ん中ストレートを放った。
「ああ、んー。なに、隕石?」
新聞記事に集中していたのか、適当な生返事をしてから、父はすぐに我に返り、顔を上げて僕を見た。
すぐに取り出せるように、折りたたんでテーブルの脇の電話台の下に挟んでおいた図書館の新聞記事のプリントアウトを引っ張り出して、僕は父に見せた。
「こりゃあまたずいぶん古い記事だな。終戦直後か。80年は経ってるな」
ぱらぱらと5つの記事を見比べて、「んん」父は少し難しい顔になった。
それからすぐにいつものにやにや顔に戻って、
「夏休みの自由研究か?」
そう僕に聞いた。
「うん」
僕は短く答えてうなずく。
アイよりは、嘘が上手いと思う。自慢にもならない事だけれど。
「でもこれは、ちょっと難しいかもなあ」
父は少し困ったような顔で云う。
「どうして?」
「図書館で調べて、これしか出てこなかったんだろう?これ以上の情報は、見つからないと思うぞ」
「そうなの?」
「ああ。箝口令って知ってるか?簡単に云えば、政府や警察やお偉い誰かが、「この情報はこれ以上広めてはならん」てな感じで口止めするんだ。新聞社や今で云えばテレビ局なんかも含めたマスコミ全体にな。この隕石の件も、どうやらそれだな。たぶん米軍からの圧力とか、じゃないか」
父はそう説明してくれた。
何も云わずに新聞記事の写しだけを見せて、父がどう思うかを聞きたかったので、その試みは概ね成功だった。
僕とアイの予想通り、記事は意図的に詳細を省かれているようだった。
「あとは、そうだなあ、当時の目撃者でもいれば、直接話を聞きに行くことくらいはできるかもしれんが、なんせ80年前だからなあ」
父は肩をすくめてみせた。
云われてみれば確かにそうだ。
目撃者がいたとしても、80歳以上のおじいさんおばあさんになる。
たとえば90歳のおじいさんを見つけたとしても、隕石落下当時は10歳だ。
隕石は「夜半過ぎ」に落下したと記事には書かれていたので、10歳の子供がそれを目撃している可能性は低い。
それに、当時大人だった目撃者を探そうと思ったら、100歳以上のお年寄りを探すことになる。
父が肩をすくめたくなるのもわかる。
「父さんは、何か知らない?」
無理を承知で、聞いてみた。
「おいおい、俺まだ30代なんだけど。まあ冗談はさておき、隕石が落ちたのは間違いないんだろう。記事が残ってるくらいだからな。隕石そのものは、多分この救援に来た米軍が持ち帰ってるんだろうな。まあ、持ち帰れる大きさだったらの話だが。あとは、落下した場所の、穴を探すくらいか?「巨大な飛行物」ってくらいだから、それなりの大きな穴が残ってるはずじゃないか?」
夏休みの自由研究と思っているからだろうか、どうにか形にしようと父は頭を捻ってくれているようだった。
「場所は、ミドノ原?あれ、この辺りの昔の地名じゃなかったか?んん」
そう云って、父は固まった。
何か真剣に考え込んでいるのか、あるいは思い出そうとしているのか、と待ってみたけれど、ぼんやりと手にしたコピーを見るともなしに見つめたまま、父は微動だにしない。
時間にして、10秒くらい経っただろうか。さすがに心配になって、
「父さん、だいじょうぶ?」
声をかけると、父はハッと我に返って、大きく息を吸い込んだ。
呼吸を忘れるほど考え込むような事、だろうか。
「お、おう。なんだっけ」
と手元の新聞のコピーを見て、
「ああ、そう、隕石だな。落下地点は、ミドノ原?あれ・・・」
また、父は止まった。
いつもの冗談やおふざけかとも思ったけれど、止まっている間、本当に呼吸すらしていないみたいだった。
「父さん?」
声をかける、と、父はハッと我に返る。
「ああ、すまん」
ふう、と息をついて、父はまた手にしたコピーに目を落とす。
「なんだっけ、ああ、隕石の落下場所か、ええと、ミドノ原・・・」
また、止まる。
何だ、これは。
背筋がぞっとした。
でも僕は、これによく似た状況を知っていた。
夕方、帰り道の途中で話していた母が突然止まった、思えば、あれもそうだ。
あの時も、あれ?と思った。
似ている、と。
けれど、違う。
だって、僕は何もしていない。
相手は僕の母と父だ、たとえ無意識に、だとしても、僕が何かをするはずがない。
あの時の、職員室のナガタ先生と、あの公園のアイ。
あの謎の「現象」によく似ている。
いや、似ているどころか、そっくり、ほとんど同じだ。
でも、僕は何もしていない。
僕の無意識の何かが、父と母に、何かを忘れさせてる?
そんなはずはなかった。
僕は、何も望んでいない。
そんなことは、思ってさえいない。
だったら、なぜ?
「父さん?」
声をかければ、父はハッと我に返る。まるで、たったいま夢から覚めたみたいに。
そして、
「ああ、ごめん。なんだっけ」
と、また手にした新聞のコピーを見る。
「ああそう、隕石の落下した場所は、と。ええと、ミドノ原?あれ、これって・・・」
また、父は固まった。
まるで、動画の同じ場面をリピート再生しているみたいに。
止まる、声をかける、動き出す、また止まる、声をかける、動き出す・・・
「ミドノ原」
その地名について父が何かを考えようとするたびに、止まる。
まるで、父がそれを思い出そうとすることを、何かが止めているみたいに。
夕方、母は何を云いかけて、止まったのだろう。
「ミドノ原」?ではなかった、はず。
「あんた、年上に好かれるタイプだったんだね。知らなかったなあ」
母はそう云って、そのあと、
「そういうとこ、あんたの」
そこまで云いかけて、止まっていた。
あんたの?僕の?母は何を云おうとしていたのだろう?
何かがあるのか。
何か、触れてはいけない、言葉、単語、場所?
それについて考えたり、云ったりしようとすると、思考が止まり、動作も止まる。
僕は固まった父の手から新聞のコピーを取り、テーブルに置いた。
「父さん?だいじょうぶ?」
声をかけると、巻き戻した動画を再生するように、父はハッと我に返る。
「ああ、すまん。ぼーっとした」
きょろきょろと辺りを見回し、僕の顔を見て苦笑した。
何度も同じことを繰り返しているのに、それ自体は覚えていないみたいだった。
記憶が消されている?
あの時の、ナガタ先生やアイも、きっと同じだった。
アイは、あの公園でJと僕に会い、大声でJの悪口を捲し立てていたことを丸々忘れていた。
ナガタ先生もおそらく、教室で僕に声をかけ、僕を職員室に連れて行き、祖母のお悔やみを云ってその後僕の肩をポンポン叩いていたことまで全て、忘れているのだろう。
何か、触れてはいけない何かに触れる、そうすると動きが止まり、その前後のその何かに関する記憶が消える。
父の場合は、「ミドノ原」を思い出そうとすること。それに触れると、止まって、思い出そうとしていたこと自体を忘れていた。
手にコピーを持っていたので、それを見てまた思い出そうとする、だから繰り返しが発生していた、という事なのだろうか。
「あれ、なんだっけ?ああ、自由研究の、隕石の話か」
コピーを父の手から取りあげてテーブルに置いたので、今回はリピートに入らなかった、という事だろうか。
でも、テーブルに置いたのは僕のミスだったかもしれない。
父はすぐにそのコピーに気づき、手に取った。
そして僕が止める間もなく、それに目を落とし、
「ええと、場所は、ミドノ原?あれ、これって・・・」
また、父は止まってしまった。
間違いない、父にとって、ミドノ原の記憶は、触れてはいけない何か、なのだ。
知らなかったとはいえ、父を実験台のようにして、何度も何度も「あの現象」を再現させてしまい、僕はすごく申し訳ない気持ちになった。
ぼんやりと眼を開いたまま眠っているような父の手からコピーを取りあげ、今度はテーブルには置かずに、僕が持ったままにする。
「父さん?」
声をかけると、父はハッと我に返る。なんだか、申し訳なくて涙が出そうになった。
「ああ、すまん、ぼんやりした」
父は僕の顔を見て、また苦笑してみせた。
「ちょっとキイチロウさん、まだ若いのに痴呆症じゃないでしょうね、いやよ?」
振り返ると、お風呂から上がってきた母が僕の後ろに立っていた。
そして、僕が父から見えないようこちら向きにして手に持っていたコピーをさっと取り上げて、
「ははあ、これを調べにアイちゃんと図書館へ行ってたのね。これは何?ずいぶん古そうな記事ね。え?隕石?」
興味津々と言った様子で、まじまじと新聞記事に目を通している。
「そうなんだ、俺も知らなかったんだが、80年前に、この辺に隕石が落ちたらしい」
父が云う。
「へえ、場所はどこ?んん、ミドノ原って、どこだったかしら。聞いたことあるような・・・」
止めようとしたけれど、ダメだった。
何て云って止めたらいいの?もういいやめて?
突然そんなことを云えば、ふたりは僕の頭がおかしくなったかと心配するのでは。
母が止まり、父もまた止まっていた。
ミドノ原について考えること、何かを思い出そうとすること、
それは母にとっても、タブーのようだった。
でも、なぜ?
僕はぼんやりしている母の手からコピーを取り返して、小さく折りたたんでパジャマの胸ポケットにしまった。
これが目に入るたびに、延々とふたりは同じことを繰り返すのだろうか。
そんなばかな、とは思うけれど、実際に父はもう何度も繰り返している。
「父さん、お母さん」
ソファから立ち上がり、ふたりに声をかけると、ふたり同時にハッと我に返った。
「え、やだ、またぼーっとして。私やっぱり疲れてるのかなあ。ごめん、先に休むわ」
母はそう云って、額に手を当てながらリビングを出て行った。
ぼんやりと、まだ夢から覚めたばかりのような顔をしている父に、
「僕も部屋に戻るね。父さんありがと、参考になった」
そう僕は云った。
父は僕の顔を見て、ようやく目が覚めたような顔になり、
「おお、それならよかった。難しいかもだけど、面白いテーマだと思うぞ、隕石。自由研究、がんばれ」
いつものようにニッと笑ってた。
2階の自分の部屋に戻り、ベッドに仰向けに倒れ込んで、大きく息をついた。
あの日、あの職員室でのナガタ先生と、あの公園でのアイ、同じ日に、たぶん偶然に二度起こったあの「謎の現象」は、それ以降、機会を見つけてはいろいろと試してみていたけれど、一度も再現できていなかった。
それが、今日になって、しかも父と母を相手に、また起こるなんて。
父に至っては、何度も何度も繰り返して、だ。
僕のせい、ではないのかもしれないけれど、そして、決してわざとそうしたわけでもないのだけれど。
それでも、父と母を実験台にしてしまったような、気持ちの落ち込みはなかなか消えなかった。
静かな部屋に、耳の奥のあの「音」だけが聞こえている。
今日は、雨だれのようなぽつぽつという不規則な音が、やっぱり上の方から、聞こえてくるようだった。
少し、怖さのようなものも感じてた。
あの「現象」に対して、だ。
最初は、僕を守る「何か」だと感じていた。
ナガタ先生の理不尽な拘束から、僕を解放してくれた。
アイの暴言の嵐を止め、僕とJから彼を遠ざけてくれた。
正体不明な謎の現象ではあるけれど、少なくとも、僕らの「味方」であるように感じていた。
けれど、違う。
今日のは、違った。
あの現象が守ろうとしていたものは、僕ではなく、何か別のものだ。
それは、いったい、何?
夕方、帰り道で、母が何を云いかけたのかは、僕にはわからなかった。
だから、あの時「現象」が何を守ろうとして発動したのかも、わからない。
父の場合は、「ミドノ原」
ミドノ原、という地名や言葉そのものではなく、父が、そして母が、何かを思い出そうとすること。
つまり、現象が守ろうとしていたものは、ミドノ原に関する「何か」だ。
でも、昼間、図書館で、僕とアイがミドノ原について話していた時には、何も起こらなかった。
それが、僕とアイだったからなのか、それとも、僕もアイもミドノ原について何も知らなかったからか?
おそらく、後者だろう。
何も知らない僕らは、ミドノ原のことを考えたところで、何も思い出すことはない。
つまり、父や母は、ミドノ原について、何らかの記憶を持っている?
それを思い出そうとすると、現象が発動して、思い出そうとしたこと、それ自体を忘れてしまう。
ミドノ原は、ただの昔の地名だ。
それ自体には、何の秘密も謎もない、はず。
ミドノ原にある何か、それを父と母は知っている。あるいは、知っていた。
だから、ミドノ原、という言葉から、父と母がその何かを思い出しそうになると、あの現象が起こる。
その予想が当たりなのだとしたら、実によくできた防衛機構だと思う。
その何かを僕は知りたい。父と母は、たぶんそれを知っている。
でも父と母にそれを尋ねることはできない。
現象が発動して、父と母はそれを思い出すことはおろか、それについて考えることすらできないから。
ふと、アイのことが頭に浮かんだ。
初対面の公園での印象は、最悪だった。
でも、あの現象のあとは?
夢から覚めたようにアイは「あれ、ジーン。俺、何でこんなとこに」ぶつぶつ云いながら、「じゃあな」と素直にあの場から去って行った。
次に会ったお祭りでは、僕とJを見つけてはいたけれど、何もせず何も云わずに離れて行った。
その夜、海岸通りの三叉路に現れたアイは、無愛想でこそあったけれど、僕とJを助けてくれた。
そして今日も、あの駐車場にふらりと現れて、アイスをおごってくれて、いろんな話を聞かせてくれて、図書館にまで付き合ってくれた。
つまり、あの現象によって、アイは、僕とJを攻撃したり、僕らと敵対したり、僕らの悪口を云ったり、できなくなっている、ということなのだろうか。
その全部があの現象のおかげ、とは思わない。
アイがもともと、不器用で無愛想だけど人のいいお兄ちゃんだったことを、僕は信じたい。
けれど、あの現象が僕とJに対するアイの中の刺々しい部分を消し去ったこともまた、間違いなさそうな気がする。
だとすればナガタ先生もまた、もう二度と、僕におかしなちょっかいをかけてくることはない、ということになるのだろう。
あの現象は、その場限りのものではなく、永続的に効果を発揮するもの、らしい。
だから父と母は、ミドノ原に関する何かを、思い出すことができない。
あるいは、ふたりにそれを思い出させないことで、間接的に僕を守ろうとしている、とは考えられないだろうか。
思い出してはいけない、何か危険なものがあるのだとしたら?
だとすれば、あの現象はやはり僕を守ろうとしているもの、という事になり、ナガタ先生やアイに起こったのと同じ種類のもの、ということになるのでは。
少し、都合よく考えすぎな気もするけれど。
ミドノ原には、いったい何があるのだろう。
いや、ミドノ原、つまり今のこのニュータウンに、だ。
僕も父も母も、今まさに、そのミドノ原に住んでいる。
80年前、隕石が落ちたという、その場所に。
ふと、祖母は何歳だっただろうか、と思った。
80歳くらい、だったはず。
だとすれば、隕石が落ちてきた時、祖母は赤ちゃんだったのかもしれない。
祖母は、何かを知っていただろうか。
隕石について、あるいは、ミドノ原について。
知っていたとして、それを尋ねたら、祖母にも同じ現象が起こるのだろうか。
残念ながら、それはもう、確かめようがないのだけれど。