波打ち際の夢を見た。
それが夢だとは、すぐにわかった。
見たこともないほど遠浅の、見たことのないオレンジ色の海だったから。
海岸線ははてしなく、はるか彼方までゆるやかに蛇行しながら伸びていた。
同じくらいはるか遠くの水平線は、海と同じ明るいオレンジ色の空に溶けて混じり合う。
空は明るく晴れているのに、あたたかな雨がぱらぱらと僕の上に降り注いでいる。
僕はくるぶしまで水に浸かっていて、はだしの足の上を、波が白い泡を立てながら行きつ戻りつしていた。
波が打ち寄せるたびに、ざわざわと水と泡の弾ける心地良い音が聞こえ、波音の他には何の物音もしなかった。
足元のどこまでも平らな浜は、見たこともないくらい濁りも陰りもない真っ白な細かい砂で覆われていた。
白くまばゆい砂は、その粒ひとつひとつがきれいな星型をしていて、きらきらときらめいていた。
オレンジと白の広い広い砂浜。
そこに、僕はひとりきりで立っていたけれど、不思議と少しも寂しくはなかった。
「この海は、みんなとつながってるからね」
やさしい鈴の音のような、Jの声が、僕のすぐ耳元で聞こえた。
目覚めたとき、僕は泣いていた。
涙が目尻からこめかみを伝って落ち、その感触で目を覚ましていた。
不思議な夢を見ていた気がするけれど、内容は思い出せなかった。
だからどうして涙を流していたのかも、わからなかった。
窓の外は薄暗く、夜明けまではまだ時間がありそうだった。
もう一度、同じ夢を見たいと思って、眼を閉じて、そのまま眠りについてみた、けれど。
残念ながら、夢は見なかった。
見ていたのかもしれないけれど、朝日の当たる部屋で目を覚ました時には、何も覚えていなかった。
翌日は、月曜日だった。
あのお祭りの日曜日の翌日、夏休みに入って2回目の月曜日だった。
いつもの時間よりもかなり早く、僕は公園に着いた。
誰もいない公園には、蝉の声だけが、じいじいとやかましく鳴り響いていた。
僕の頭の中の「音」は、今日はざあざあという砂嵐のようなノイズだった。
ベンチの前に、いつもの黒犬の姿は見えなかった。
暑いので、どこか涼しい木陰にでも避難しているのかもしれない。
壊れた噴水の影になった、ひび割れた縁石の上の日陰には、あの黒ネコが寝そべっていた。
誰もいないのをいいことに、今日もだいたんに大の字の寝相をさらしている。
物置小屋の屋根の上には、あのカラスがいた。
けれど、いつもの彫像のように微動だにしないスタイルではなく、所在なげに、屋根の上をぴょんぴょんと飛び跳ねていた。
日に焼けた屋根が熱くて、落ち着かないのかもしれない。
電車ブランコにひとりで座り、いつかのJを真似て、背もたれに体をもたせかけ、空を見上げてみた。
鮮やかな夏の青空と白い雲を背景に、濃い緑色の竹林がざわざわと風にゆれているのが見える。
風もあるし、竹林の日陰になっているので、ここはそれほど暑くもない。
17時のチャイムが鳴るころまで、ここでこうしてぼんやり過ごすのも悪くないかもしれない。
そんなだらけた考えが頭に浮かびかけて、
「ちがうよね」
誰かの声がする。
誰か?
いや、誰もいない。
それは、僕の声だ。
僕の心の中の声。
ぼんやり過ごす?そうじゃないよね。他にやるべきことがあるはず。
Jの不在を承知の上で、誰もいないいつもの公園へ出かけて来て、日暮れまでぼんやりとおセンチに浸るの。
それは、ちがうよね。
やるべきこと。
JとLの眠りを覚ます方法を見つける。
L。
そうだ、Lだ。
昨日、Jは云ってた。
「Lも、こんな風に、急に、眠気に襲われたのかなあ。あの工事現場か、呼び出された別の場所か、で、こんな風に、急に眠気に襲われて。でも、あのLが、おとなしく、素直に寝るとは、思えないよね」
僕も、そう思う。
Lは、何か手がかりを残しているのではないだろうか。
だとすれば、今日、僕が行くべき場所は、この公園じゃない。
「工事現場だ」
声に出して、云った。
僕の声に驚いたのか、物置小屋の上のカラスが「カァ」と短く鳴いて、ばさばさっと屋根の上で羽ばたいてる。
「ごめん」
ぺこりとカラスに頭を下げて、立ち上がる。
じんじんと両膝が鈍く痛んだ。
昨夜転んだ時に、アスファルトの路面にしたたか打ちつけた僕の両膝は、思った通り擦りむいて、大きな青あざができていた。
でも、だいじょうぶ。
「ふふふ」と笑った。
この膝の痛みは、Jを落とさずに守り切った、僕の勲章だ。
痛いけれど、Jを落とさなくてよかった、と思えば、自然と笑顔になる。
単純だけど、男の子って便利だ。
痛みを無視して、笑顔で歩き出す。
向かうは、あの工事現場の駐車場だ。
あらためて来てみると、なんとも寂しい場所だなと思った。
ニュータウンの開発計画が頓挫し、大型ショッピングセンターの建設が中止されて、どれくらい経つのだろう。
正確なところは知らないけれど、20年、いや30年くらいになるのかな。
夏の日差しを浴びて焼けたアスファルトは、長年放置されたためにあちこちひび割れて、名も知れない雑草がいたるところに顔を出している。
アスファルトが敷かれた駐車場はまだましな方で、周辺の空き地は、すっかり背の高い雑草に覆われて、一面がジャングルのようになっていた。
これは、果たし状の方かなと、あらためて思う。
ラブレターで、こんな殺風景な場所に呼び出すなんて、ありえない。
当時、Lがどんな行動をしたのかをイメージしたかったので、その時のLの様子を想像してみる。
12月のとある月曜日、下駄箱に入れられていた封筒、それに書かれた指定場所に辿り着いてみると、目の前には殺伐とした空き地。
Lの気持ちになりきって、駐車場に、足を踏み入れてみた。
誰もいない駐車場は、しんと静まり返っている。
どこかの電柱にとまっているらしい、蝉の声が遠くから聞こえるくらいだったので、おそらく12月には、風の音と時々向こうの大通りを走り過ぎる車の音くらいしか聞こえなかっただろう。
駐車場は通りに面した横長の長方形で、縦は7〜8メートルくらい、正面には背の高い工事現場の仮囲いの白い鉄製の塀が巨大な防壁のようにそびえ立っていた。
横幅は15〜6メートルくらいだろうか。大型のダンプや重機を乗せたトレーラーが、現場へ出入りするのにちょうど良さそうな広さに思えた。
特に、何もない空き地だった。
道路側の隅の方に、出入り口を塞ぐために使われていたものらしき、ウマ、というのだろうか、鉄パイプを、横から見ると「A」の形に組み合わせた簡易的なバリケードが、雑草に半ば埋もれるように、いくつか置かれているくらいだった。
長年放置されていたわりに、不法投棄されたゴミなども見当たらないのは少し意外だった。
そういう意味では、小ぎれいな空き地、と云えるかもしれない。さすがに長年放置されているので、日に焼けたり風にさらされたりした経年劣化や全体的に埃っぽく薄汚れている点は否めないけれど、故意に汚されたような不潔な感じはしない、という程度の小ぎれいさは保っているように見えた。
呼び出されたLの気持ちになって、辺りを見渡しながらゆっくりと空き地の真ん中あたりまで進んでみる。
雑草に埋もれたバリケード以外に特に何もない空き地なので、遮蔽物もない。
呼び出した人物が、どこかに身を潜めてこちらの様子を伺う、というのは難しそうだった。
いや、周辺のジャングルのような、背の高い雑草の茂みに身を潜めることはできる、かも。
何が出てくるかわからない深く生い茂った不気味な草むらに、僕なら入りたいとは思わないけれど。
半年前のあの日、Lがここへ到着した時、呼び出した人物はすでにここで待っていたのだろうか、それともまだ来ておらず、誰もいなかったのだろうか。
この場所で、急な眠気に襲われた。としたら、Lはどうしただろう。
あらためて、辺りを見回す。
こんな場所で眠るわけにはいかない、と僕なら思うだろう。
昨日の、Jを思い出してみた。
Jが眠気に襲われたのは、あの神社の石段の下あたり、との事だった。
そこから、ふたりで海まで歩き、Jが眠るまでの時間は、1時間あまりだっただろうか。
だとすると、眠るまでの時間には、個人差があるのかもしれない。
もしも差がないのだとしたら、1時間あまりもLはこんな何もない場所にいたことになる。
あるいは、別の場所で眠気に襲われて、ここへ着いたのがちょうど1時間後くらい、眠りに落ちる時間だった、という可能性もある、かな。
学校からこの場所までは、ゆっくり歩いても30分くらいのはず。
どこか別の場所へ呼び出されて、ここへ連れて来られたのだとしたら、ありえなくはないのかもしれない。
Jがサモンジさんから聞いた話によれば、救急車が呼ばれたのが午後3時すぎ、だったはず。
Lと学校の玄関でわかれたのはその1時間ほど前、とJは云ってた。
そして、その時はいつも通りのLだった、とも。
Jと同じように眠るまでの猶予が1時間ほどあるのだとしたら、その時間だけで考えれば、学校を出る時点で、すでにLは眠気に襲われているはず、だけれど。
もしも個人差があるのだとしたら、LはJよりもその猶予時間が短かった、ということになるのかな。
もしそうなら、何かをする暇もなく、いきなりここで眠りについてしまった、その可能性もあるのか。
ふむ。
実際に現場へ来てみて、ひとつ思い出したことがあった。
その話をしたとき、Jは、あの封筒の事を妙に気にしてた。
Jの着眼点は、もしかすると正しいかもしれない。
初めから、注目すべきは、あの封筒だったのかも。
誰がLにあの封筒を送ったのか。
その人物こそが、何かを知っているはず、なのでは。
「え、おまえ、何でこんなところに?」
不意に背後からそう声をかけられ、驚いて振り返る。
空き地の入り口に、茶髪の背の高い少年、アイがいた。
真っ赤な電動のマウンテンバイクに跨って、アイは不思議なものでも見るような顔で僕を見てた。
何でこんなところに?
それはこっちの台詞なのだけれど。
ぐいっとマウンテンバイクのペダルを一漕ぎして、アイは空き地へ入ってきて、僕のすぐ前で止まる。
「ちょうどよかった、おまえに聞きたいことあったんだ。連絡先分からねえし、後で昨日の交番へ聞きに行こうかと思ってたとこだ」
そう云って、アイは妙に親しげな笑顔を見せた。
こいつも普通に笑うんだな、と僕は思った。
こんな風に笑った顔は、初めて見た気がする。
「あんたこそ、なんでこんなところに?」
まさか街中しらみつぶしに僕を探して、ここまで来たわけでもあるまいし。
僕が聞くと、アイは「はあ」と小さくため息をついて空を見上げ、
「だからさ、昨日からおまえ、何をそう怒ってんだよ?まあ、たぶんまた俺が気づかずに、何かやらかしたんだろうとは思うけど」
最後はぼそぼそと口ごもった。
たぶんまた?って、なんだろう。
しょっちゅうそうやって、気づかずに何かやらかしているの、かな。
「ま、いいや。おい、ちょっとそこのコンビニ行こうぜ。つき合え」
そう云ってアイは自転車を降り、くるっと向きを変えて自転車を押しながら歩いて空き地を出て行こうとする。
急なことで反応が追いつかず、僕がぼんやり見ていると、アイはこちらを振り向いて「早く」と云うみたいに僕に手招きをしてた。
何でアイと一緒にコンビニへ行かなきゃいけないの、と思った。
けれど、僕もアイには聞きたいことがいろいろある。
アイの連絡先を知らないのは僕も一緒だったし、タイミングとしてはこちらも願ったりだったのは確かだ。
そう思ったので、おとなしく、黙ってコンビニまでついて行く事にした。
コンビニの前に自転車を止めると、
「自転車、見といてくれ」
そう云って、アイはひとりで店内へ入って行った。
コンビニまで自転車を押して一緒に歩いていたのは、僕を気遣ってのことだったのかな。
不愛想なくせに、そういうところは、まじめと云うか、ちゃんとしてると云うか、何と云うか。
育ての親であるJのお母さんの影響が大きいような気がする。
すぐにアイは店を出てきた。
手には、青いパッケージのソーダ味のアイスキャンディをふたつ持っていた。
そのひとつを僕の手に押し付けるようにして渡し、
「おごるよ、暑いしアイスでも食べながら話そうぜ」
アイはそう云って、アイスの包装をはがして丸めたレシートと一緒にコンビニのくずかごに捨て、棒付きのアイスを口にくわえた。
自転車を押して、またあの空き地へ向かって歩き出す。
僕もアイスの包みを開いて外し、くずかごに捨ててアイの後を追った。
「俺、こんなナリしてるせいか、知らずに下級生を脅かしちゃうっていうか、ビビらせちゃうっていうか、そういうのけっこう多くてさ」
並んで歩きながら、アイは言い訳のように云う。
「おまえも、昨日会った時からずっとそんな風だし。たぶん以前に何かしちまったんだと思うんだけど」
大きな体で大きなマウンテンバイクを押しながら、ぼそぼそとつぶやくようにアイはそう云って、
「すまねえ」
歩きながら、僕にぺこりと頭を下げた。
お詫びの印のアイスキャンディ、というつもりなのかな。
でも、アイス1本とお詫びの言葉だけでは、僕の気持ちはおさまらない、けれど。
「ほんとに、何も覚えてないの?」
思わず、僕はそう聞いてしまった。
それも確かに、アイに聞きたかったことのひとつ、ではあった。
いきなりその話から始めるつもりはなかったのだけれど、まあ、タイミングというやつだった。
あの公園での記憶は、本当にないのかどうか。
あの時のことを、どの程度、どこまでを覚えているのか、あるいは覚えていないのか。
アイは、黙って考え込んでいる。
記憶を辿ろうとしているらしかった。
空き地に着くと、そのまままっすぐ中へ入って、奥の工事用の仮囲いの壁際まで進んだ。
工事現場を囲む高い塀のおかげで大きな日陰ができていて、駐車場の真ん中の、炎天下のひなたで話すより多少は涼しそうだった。
アイは自転車のスタンドを下ろして立て、端の方の草むらから鉄パイプのバリケードを引きずってきて日陰に置き、そこに座った。
草むらにほとんど埋もれてしまっている鉄製のゴミカゴに、食べ終えたアイスの棒をぽいと投げ捨てたけれど、そのゴミが回収されることは永遠になさそうに思えた。
その間、アイはずっと考え込む表情をしていたけれど、思い出せなかったらしい。
「おまえ、昨日、祭りにいただろ。ジーンと神社の石段の下あたりにいたのを見た」
そう云いながら、僕を手招きして、横に座れと手で示している。
隣に並んで座るほど、まだ仲良しではないのでは、と思ったので、僕もアイの真似をして草むらからバリケードを引きずってきて、向かい合う場所に置き、そこへ座った。
「ほら、またそういう」
アイは肩をすくめてる。
意外と、繊細な子なのかもしれないな、と僕は思う。
僕が勝手に自分でバリケードを引っ張ってきて座っただけなのだから、別に気にしなくてもいいと思うのだけれど。
そういうのがいちいち気になってしまう、気の細やかな子なのかな、図体はでかいけれど。
「その前にも会ってるよ。先月、電車ブランコのある公園で」
アイの反応が見たかったから、正面に座りたかった、というのもあった。
横に座ったら、向こうを向かれてしまえば表情が見えなくなる。
「先月って6月か?電車ブランコの公園って、どこだ?」
そう尋ねるアイは、とぼけている様子はなく、本当にわからないみたいだった。
「北向きの通学路から、東に一本路地を入ったところ。竹林の横にある小さな公園」
僕がそう云うと、アイは腕組みをして空を見上げ、また記憶を辿っているようだった。
「公園・・・。ああ、確かにあの辺に、何かちっさい公園があるな。それは知ってる。通りすがりに見た覚えもある。でも俺、入ったことないぜ」
ぽつりぽつりと答えるアイの言葉に、嘘はないように思えた。
その回答も、なかなか興味深い。
公園は知ってる。見た覚えもある。でも、入ったことはない。
例えるなら、
小学校から通りを1本隔てた西に、市の中学校がある。
僕はそれを知ってる。見たこともある。でも、中まで入ったことはない。
アイのあの公園についての認識は、僕の中学校に対する認識と同じだ。
とても自然で、そこに嘘やごまかしはないように思えた。
「僕とJが電車ブランコに座って話していたら、あんたが公園の外を通りかかって」
「Jって、ジーンのあだ名か?おう、それで?」
「大声で、Jの悪口を云い始めた。街外れの孤児院の売れ残りだとか、ミカエルがあんなことになって可哀相とか、他にもいろいろ云ってたけど、大半は僕には意味がわからなかった」
僕がそう云うと、アイは「あっ」と云って自分の額をぱちんと手の平で叩く。
わかりやすい子だ。思い当たることでもあったのかな。
「それは、時々、ごくたまに、何度か、前にジーンに云ったことが、ある、けど。でもそりゃあれだ、単にジーンを構いたかっただけって云うか、幼馴染の、仲間意識の裏返しって云うか・・・」
なんだそれ、意味がわからない。
構いたかっただけ、は、百歩譲っていいとしよう。
幼馴染の仲間意識も、まあわかる気がする。
でも裏返しってなに?どうしてそれを裏返す必要があるの?
「何それ、よくわからない。幼馴染で仲間と思ってるなら、どうして悪口を云う必要があるの?」
僕はそう聞いた。素朴な疑問だった。
「そりゃあおまえ、だから裏返しだって。素直に幼馴染だ仲間だなんて、とても恥ずかしくて云えねえだろ?」
アイは頭を抱えて、そう呻くように云う。
「でも、昨日は云ってたよ。お巡りさんにも、お父さんにも、「幼馴染なんだ」って、わりと自然に堂々と」
「そりゃ、昨日は非常時だったし、他のやつには云えるだろ?」
「他の人には云えるけど、J本人には恥ずかしくて云えないから、それが裏返って悪口になっちゃったってこと?何それ、ぜんぜん意味がわからない」
僕は思ったことを、そのまま聞いてみただけだった。
けれど、なぜか突然頭の中に、必死に笑いを堪えているJの姿が浮かんだ。
「ちょ、K、もう・・・いい、やめて、あげて」
楽しそうなJの声まで、耳の中で聞こえた気がした。
僕の頭の中の想像とは云え、Jの魔法の声でそう云われてしまうと、目の前で頭を抱えて呻いているアイが、何だか少し可哀相になってくる。
というか、まるで、小さな2年生の僕が、この大きな6年生をいじめているみたいにも思えてきたので、
「あんた、反抗期なの?」
フォローするつもりで最後にそうつけ加えた。
それがトドメになってしまったのかな。アイは「ぐっ」と短く呻いて下を向いてしまった。
云ってしまってから、何となく母を思い出した。
歯に衣着せぬ物云いをする、と僕は母のことを常々そう思っていたけれど、実は彼女も思ったことをそのまま素直に聞いたり云ったりしているだけ、なのかもしれない。
それが良いか悪いかは、さておき。
「お、おまえ、何年だ?ちっさいのに容赦ねえなあ」
ようやく顔を上げたアイは、そう云ってまだ肩を落としている。
ちょっとストレートすぎたのかもしれない。
目の前のアイに、母にやり込められてしょんぼりしている父の姿が重なって見える気がした。
僕は少し反省をして、そこでまた「2年だけど」と素直に答えたら、再びアイが頭を抱えて下を向いてしまいそうな気がしたので、
「とにかくあの公園で、あんたはそれを云った。本当にぜんぜん覚えてないの?」
そう、話を戻してあげることにした。
「お、おう」
アイはようやく顔を上げて、
「前に何度か、そうやってジーンを構ったことは覚えてる、間違いねえよ、悪かった。でも、その公園で、おまえらに会った覚えはねえぞ」
まだ少し元気はなかったけれど、でもはっきりとそう云った。
僕は、もうひとつ思い出したことがあった。
さっきアイは「公園があるのは知ってる、でも入ったことはない」と云った。
確かにあの時、アイともうひとりの少年は、一歩も公園の中へは入ってこなかった。
まるでそこに目に見えない壁でもあるみたいに。公園の敷地の外側から喚くばかりで、中へは入ろうとしなかった。
中に入れなかった。
まるで、「入ったことがない」という認識に縛られていて、それを破ることができないみたいに。
アイは、もう一度考え込む表情になっていたけれど、やがて首を左右に振りながら、
「やっぱり覚えがねえ。おまえとは、昨日はじめて会ったもんだとばっかり思ってたぜ」
そう云って、少し僕の方に身を乗り出しながら、こほんとひとつ咳払いをする。
そして、
「なあ、いったい何が起こってるんだ?おまえ、何か知ってるんだろう?ほんとにガブリエルじゃないのか?いや、もしおまえがガブリエルじゃないっていうんなら、あいつは今どこにいるんだ?」
意を決したように、一息にそう云った。
アイが僕を探していた理由、僕を見つけて、どうしても聞きたかったこと、というのは、これら一連のことだったのだろう。
本当にわかりやすい子だ。潔くて気持ちがいいくらいだ。
でも、だからって全部いっぺんに聞くかな、普通。子供じゃあるまいし、あ、子供か。
アイの質問は、4つだった。
1、いったい何が起こっているのか
2、僕は何か知ってるのか
3、僕はガブリエルなのか
4、僕がガブリエルでないのなら、ガブリエルはどこにいるのか
それらの質問に、いくつかは明確に答えることはできそうだけれども、いくつかはまだ、だいぶ、ぜんぜん、情報が足りない。
どうしたものかと少し考えて、もう少し、アイに話してもらおうと思った。
「ガブリエルって、誰?」
単刀直入に、そう聞いた。
質問に質問で返すのは少しはばかられたけれど、アイは、そういうのはあまり気にしないだろうと思ったし。
「おまえ・・・、じゃあ、やっぱりおまえじゃないのかよ」
少し、いや、だいぶがっかりした様子で、アイはまた下を向きそうになったけれど、ぐっと体に力を込めて持ち堪えたみたいだった。
僕の方をまっすぐに見て、尋ねる。
「おまえ、どこまで知ってる?俺たちのこと。12年前、教会に捨てられて・・・」
「捨てられてないでしょ、「置き去り」にされてたんだ」
そこは、訂正した。
「一緒じゃねえのかよ。まあいいや、置き去り?に、された赤ん坊だって事は知ってるんだよな?」
わりと素直に云い直したので、僕はうなずいて、
「あんたと、Jとミカエル、それともうひとり、4人の赤ちゃんが置き去りにされて、教会で育てられたのは知ってる。ミカエルともうひとりの子は、まだ小さい赤ちゃんのうちに引き取り手が見つかって、養子縁組されたって話だったけど」
アイはうなずいて、
「その、ミカエルと一緒に引き取られたもうひとりの赤ん坊ってのが、ガブリエル。ミカエルの双子の兄弟だ。てっきりおまえがそうなのかと思っちまったけど」
苦虫を噛み潰したような顔をしてた。
何か特別な感情でもあるのだろうか、そのガブリエルに対して?
いや、それよりも、
「どうして、あんたがそれを知ってるの。ミカエルが養子縁組された時、あんたもまだ赤ちゃんだったはずでしょ」
率直な疑問点をまず聞いた。そうだ、アイがそれを知るはずがない。
なぜなら、教会の牧師さん夫妻、つまりJのお父さんとお母さんは、最終的に自分たちで引き取った養子であるJにすら、それ以前の養子縁組の内容は契約とか約束とかで話せない、というくらい真面目な人たちなのだから。
「見たんだ、養子縁組の書類を、教会で」
多少は後ろめたい思いがあるのかな、短く、アイはそう云って、
「た、たまたま、偶然にだぞ。俺の養子縁組の話があるって、教会のお・・・父さんに云われた時に、どんな家に引き取られることになるのか、気になって。こっそり父さんの部屋の机の引き出しを開けて。そしたらそこに、ミカエルとガブリエルの養子縁組の書類が入ってた。ミクリヤミカエル、ミクリヤガブリエルって、ふたりの名前が書いてあって。それで俺、あ、こいつらが俺よりも先に、赤ん坊の時にもらわれて行ったやつらかって・・・」
もごもごと最後は口ごもる。
ミクリヤガブリエル
それが、Lの兄弟。
まさか、本当に兄弟がいたなんて。
できる限り、僕は平静を装おうとはしたけれど、無理だった。
表情に、驚きが出ていたのだろう、アイは僕の顔を見て、
「その顔、じゃあ、やっぱりおまえじゃないんだな。たしかに双子のわりに似てねえ、髪の色も目の色も違うし。でも体格はミカエルとそっくり同じくらいだから、もしかしたらって。それに、ジーンが・・・」
また少し口ごもって、
「ジーンがあんな風に懐くやつなんて、ミカエル以外、見たことなかったから」
ふてくされるみたいに、そうアイは云った。
「でもあんたは昨日、病院で僕の父と母にも会ったよね?あのふたり、どう見てもミクリヤ家の当主夫妻には見えないでしょ。何よりスズキって名乗ってたし」
ちょっとズレてるとかうっかりとかにも程があるのでは、と思い、ついそう聞くと、アイは慌てた様子で、
「だからさ、だからこそ、おまえがガブリエルなんじゃねえかって思ったんだ。だってそうだろ、学校にもそんなやついねえ、どこにもいねえんだぞ。何か事情があって、ミクリヤ家はガブリエルを隠してる」
そう力説する。
なるほど?
何か事情があって、隠してる、それは案外、的を得ているのかもしれない。
ともかく、うちの両親を見てもまだ、僕がガブリエルなのではとしつこく疑っていた理由だけは、わかった。
わかったけど、
「なんでそんなにガブリエルにこだわるの。その子を探してどうするの?」
これもまた、率直な疑問だった。
赤ちゃんのうちに養子縁組されたのであれば、なおさら、アイとガブリエルの間にどうしても会わなきゃいけない何かがあるとも思えない。
ガブリエルにしたって、アイを覚えてもいないだろうし。
「そりゃ、おまえ、最初は、ただの好奇心だったよ。小学校に上がる前に、今のアンドウの家に引き取られて、その直前にミカエルとガブリエルの書類をうっかり見ちまってたから、ミクリヤ家にいるんなら、同じ小学校に通うはずだと思うだろ?そしたら、入学したらどんなやつか見て、会ってみたいじゃねえか。でも、入学式にいたのは、ミクリヤミカエルひとりきりだった。ガブリエルなんていやしねえ。まさか、と思ったぜ。小学校に上がるより前に、何か不幸なことがあったんじゃねえかってな。俺たちは、赤ん坊のうちに捨てられ・・・あ、いや、置き去り?にされた子供だ。でも、もし、神様がほんとにいるんなら、俺たち4人は、絶対に不幸になんかなっちゃいけねえはずなんだ。だってそうだろ、いきなり不幸からのスタートだぜ?あとはもう、幸せになるしかねえんだ。ジーンも、ミカエルも、ガブリエルも、俺も、なのに・・・」
そう云って、アイは言葉に詰まってしまった。
なるほど、腑に落ちた、かも。
この子は、やっぱりただのいいやつだ。仲間思いの、幼馴染を大切に思っている、ただのいい子だ。
ちょっと反抗期で、意味のわからない裏返し?とやらで、Jをしつこく構ってしまっただけの?いや、あの暴言はやっぱり僕は許せないので、いつかJの目の前できっちり謝ってもらわないと気が済まないけれど。
それを一旦置くとすれば、まあ概ね理解できないことはない、かも。
もうひとつ、確認が必要だけれど。
「半年前に、ミカエルをここに呼び出したのは、あんた?」
母譲りの直球勝負の味を占めたわけではなかったけれど、この方がたしかに話は早いので、また僕はストレートに聞いた。
「はあ、それでおまえもここに来たのか」
ため息まじりに、アイはそう云った。そして、
「そうだよ、俺が呼び出した。ガブリエルのこと、どうしても気になって、直接あいつから聞きたかったんだ」
あっさり認めたので、なんだか拍子抜けしてしまった。
でも、ひとつ気になった。
「入学以来、6年間?あ、いや去年だから5年間か、ずっとため込んで、なんで今頃になって?」
「そうじゃねえ。まあ、いつか聞きたいなとは思ってたけど。あいつは、ミカエルは、ほら、孤高の天才児だから。近寄りがたいっつーか、実際、誰とも話さなかったよ。いっつもつまんなそうな顔して、まあ、学校の授業なんてつまんないんだろうな、あいつには。そのうち、ほとんど学校にも来なくなって、来てもすぐに迎えの車呼んで帰っちまったりな。それでも成績は文句なし全て100点なんだから、先生たちも何も云えねえよな。だから、3年の時に、ジーンがあいつと普通に話してるのを見た時は、びっくりしたぜ。教会で親に何か聞いたのかと疑ったくらいにな。ジーンに聞いたら、逆に問い詰められたよ。なんでアイがミカエルの事しってるの?ってな。しかたなく、書類を見ちまったことを話したよ。ガブリエルの事は云わなかった、いや、云えなかったけど。まあそんなんで、ミカエルにはずっと聞けずにいたら、去年の冬に、都会の有名私立中学受験のために6年になったら転校するって噂が流れてな。結局、転校したのはミカエルじゃなくて別のやつだったんだけど、噂なんて勝手なもんだからな。俺もそれを信じちまって、だったら、転校する前に聞かなきゃと思って、それで・・・」
思わぬ形で、Lの孤高の天才小学生エピソードが聞けて面白かった(?)ので、もう少し聞いていたい気持ちではあったのだけれど、まあそれはまた別の機会にじっくりお願いしようかなとぐっと堪える。
「あ、でも呼び出したのはここじゃねえぞ。学校の近くの、河川敷だ。ここへは、ミカエルに連れて来られたんだ」
そう、アイは付け加える。
呼び出したのはここじゃねえ?
Lが、ここへアイを連れてきたの。
いったい、なんのために?
予想外の展開すぎて、思考が置いていかれそうになる。
Lはこの場所を知ってたのだろうか。そうだとして、ここに一体なにがあるというんだろう。
「その時のこと、詳しく教えて」
「ん、ああ。下駄箱に手紙入れて、河川敷で待ってたらミカエルが来た。手紙には「ガブリエルの事を聞きたい」って書いた。書かなきゃ、来てくれねえと思ったんだ。来るなり、「んで、なに?」ってミカエルが云うから、「お前の兄弟の、ガブリエルはどうしたんだ」って、「今どこにいるんだ」って聞いたよ。そしたら、「はあ」ってでっかいため息ついて「おまえがそれ知ってどうすんの?ばかなの?」って・・・」
Lだった。まごうことなき、Lだった。あの可愛い顔で、この大男相手に、よくもまあ。
いや、僕も人の事は云えないのかもしれないけれど。
「だから、云ったよ、さっきみてえなこと。俺たちは、4人の赤ん坊は、誰も不幸になるべきじゃないって。そしたら、「ふぅん」なんて云って、しばらく黙り込んでた」
Lは、アイの事は知ってたのだろうか。まあ、知ってたのだろう。アイはでっかいし学校でも目立つだろうし。これまでにもJにちょっかいを出してたみたいだから、それをJがLに話してたのかもしれない。
「そしたら急に「じゃあ、教えてやる。そのかわり、今からちょっと付き合ってよ」ってさ。「どこ行くんだ?」って聞いても「さあね」とか笑って教えやがらねえし。で、延々歩かされて、ここへ連れて来られた」
今からちょっと付き合ってよ
ここへ連れて来られた?
ぴんときた。
ひょっとして、Lは、
「ミカエルは最初からここを知ってたの?それとも、何て云うか、何かを頼りに歩いてきたらここへ着いた、みたいな感じ?」
どう聞いたらいいのだろう、と迷いながらも、そう尋ねてみた。
「携帯のナビでも見てるみたいな、って事か?なんでわかったんだ?俺も最初は、あいつスマホでも持ってるのかと思った。時々立ち止まって、何かを確かめてるみてえだったから。でも手には何も持ってなかったんだよなあ」
不思議そうに、アイは云う。
やっぱり、「線」だ。
Lは「線」の指す方向を頼りに、ここへ来た。アイを連れてきたのは、なんだろう、ボディガード的な?何かあまり良くなさそうな「色」が見えていたのだとしたら、念のために連れがいたほうがいいだろう、くらいの考えだったのかもしれない。
「それで、ここへ着いて、さっきのおまえみたいに、真ん中あたりに立って、辺りを眺めてた。だから、さっきはちょっとビビったぜ。おまえ、ほんとにガブリエルじゃねえのか?」
まだ云うか。ガブリエルだとしたら、年が合わない。まあ、アイは僕の学年を知らないのだろうけれど。
そんなことより、ここは、いったいなんなのだろう。
放棄された工事現場。その駐車場跡地、なのだけれど。
Lの「線」は、なぜここを指していたのだろうか。
結果から云えば、Lがここで眠りにつく場所だったから、という事になるのかもしれないけれど、眠りにつくための条件に、場所が関係あるのだろうか。だとしたら、そこへ行かなければ、どうなるの?眠らないのかな?
でもJは、眠りに落ちる前に云ってた。「これは、やっぱり、必要な眠り、だと思う」って。
必要な眠りを、その場所へ行かないことによって回避したとしたら、何かもっと深刻な事態に陥ることになる、のだろうか。
「おい、おまえ、だいじょうぶか?」
アイが、僕の顔をのぞき込んでた。ついつい、考えに沈んでしまってた。
「だいじょうぶ。それで、その後どうしたの」
「え、ああ。しばらくそうやって、辺りの様子をうかがってたら、急に、あいつが座り込んだんだ。あの天才児がめずらしく「わっ」とか悲鳴みてえな声上げてたから、ただごとじゃねえなと思って、「どうした?」って駆け寄ったら、地面にずるずるって倒れ込んで「うっわ、やっべ、これ無理なやつじゃね」とか何とか云って、俺に「おい、ちょっと救急車呼んできてくれ、急ぎで頼む」ってさ。あのミクリヤの孤高の天才お嬢様が、こんなアスファルトの地面に寝てるんだぜ?急いであのコンビニまで走って、外の公衆電話から、救急車を呼んだよ」
まさか、Lが自分で救急車を呼ばせていたとは、しかも、アイにだよ。
Jに話したら、びっくりするだろうなあ、と僕はそんなのんきな感想を抱いていた。
「でも、救急車が到着した時、ここには倒れてるミカエル以外、誰もいなかった、って」
なんとなく事情は察したけれど、念のため、本人の口から聞いておきたかったので、僕は尋ねる。
「そりゃ、あいつをひとりで放っておくのは忍びなかったぜ?でも、俺、一応、大学病院の医者の息子だから、な。しかもその頃、ってか今もだけど、親父といろいろモメてて、それ以上厄介な話になりたくなかったんだ。だから、ミカエルには悪いと思いつつも、救急車のサイレンが近づいてくるまではここにいたけど、どっちの通りから来るか分かった時点で、逆方向へ走って逃げたよ。すまねえ」
ぺこりと素直にアイは頭を下げる。
いや、僕に謝られても困るのだけど、まあ、Lはそんなことでいちいち怒らない?ような気がするので、いいのでは。
「なあ、ありゃなんなんだ。なんでミカエルは突然眠っちまったんだ?それに、今度はジーンまで?まさか次は俺が眠るのか?なんだそりゃ?いったいなんの呪いだよ?おまえ、ほんとに何も知らねえのか?おまえ、ほんとはガブリエルなんじゃねえのか?」
アイは、洗いざらいぶちまけてすっきりしたのか、今度は質問モンスターになってた。
でも、その理屈でいくと、もし僕がガブリエルなら、僕も同じように眠ることになるけれど。
それからもうひとつ、確かめたいことがあった。
僕は右手を、アイに向かって差し出す。
「なんだ?」
アイは僕の手を見て、怪訝な顔をしてた。
「とりあえず、休戦?いや、別に戦ってないけれど。じゃあ、昨日のお礼?まあ仲直りしよ」
「もう怒ってねえってことか。わかった」
アイはうなずいて、でっかい手で僕の手を握った。
本当に、すがすがしいくらい単純な子で、何だか気持ちがいい。
アイ、何か聞こえる?
呼びかけてみたけれど、返事はない。
まあ、そうだろう。「泡」が緑色だったので、つながらないだろうなとは思っていたけれど、これも念のための確認だった。
手を離しながら、アイはにっと笑って
「じゃあ、おまえのこと、キクタって呼んでもいいか?」
そう聞いてきた。
「ガブリエルじゃないんだ?まあ、いいけれど」
「え、なんだよ、やっぱりガブリエルなのか?」
「いや、ちがうけれど」
「どっちなんだよ」
ともあれ、今日、ここへ来たのは正解だった。
いろいろと収穫もあったし、いろいろわかったけれど、またいろいろ謎が増えた感じもあった。
でも、何だか面白いやつが仲間になって(?)楽しかったので、僕は笑った。
僕と仲直りしたのがうれしかったのか、アイも笑ってた。
ばさばさっと羽音がしたので見上げると、駐車場の入り口の電柱の上から、真っ黒なカラスが僕とアイを見下ろしていた。
あの公園のカラスによく似ている気がしたけれど、まさかあのカラスがこんなところまでは来ることはないよね、と思った。